2070 / 2160
ー信頼ー125
裕実という人間は昔暗い過去があったのだが、和也と一緒にいるようになって、やっと幸せを実感出来るようになれたようだ。 前向きで明るい和也。 そんな和也のおかげで裕実からしてみたら、本当に楽しい毎日が送れるようになった。
裕実は最初、雄介の方がタイプだったのだが、雄介には望がいたから諦めたようなもんだ。 だが和也と働いていて和也の優しさに触れ、明るい性格にも惹かれ、そんな和也の魅力にいつの間にか好きになってしまっていた。
あの日、病院の屋上で和也から告白を受けた裕実は直ぐに答えを出す事が出来た。 そして裕実には本当に暗い過去があったのだが、それを和也に打ち明けた時、普通の人間なら引いてしまうような事だったと思うのに和也はそれをも受け入れてくれた。 逆に一緒にずっと居たいと言ってくれた。 それから裕実は和也に色々と学んだような気がする。 馬鹿みたいに遊ぶ事やはしゃぐ事、人生を楽しむ事。 そんな人間らしい事を教えてくれたのだから、今の裕実があるのかもしれない。
「そうだ! 雄介が帰って来たらさぁ、望から雄介の事を抱き締めて、チューしちゃえ! チュー! それとも、ビンタでもするかー?」
そんな和也の言葉に望は顔を赤くしながら、
「チューもしねぇし、ビンタなんかする訳がねぇだろがぁ」
「じゃあ、望から雄介の事を誘っちゃう?」
「お、俺が……間違っても、そんな事する訳がねぇだろうが……」
そうは言うものの、最後の方は小さな声で答えたようだ。
「そう言葉を詰まらせたって事は……そういう事を想像しちゃったっていう事ですかぁ!」
「……あー! 俺からしてみたら絶対にそんな事はありえねぇーから!!」
「そうやって逆に強く言うって事は、そんなつもりっていう事ですか……。 ほー、ほー! 望がねぇ、雄介に対してはやっぱり素直って事なんだな。 それでー、今まで望は何回、雄介の事を誘ったのかな?」
「……って、俺がそんな質問に答える訳がないだろー」
「やっぱ、バレちゃいましたかー。 上の空では聞いてなかったって訳ね……」
「つーか、お前はうるさいから、黙っとけ!」
そう呆れながら言う望なのだが、もう和也とはあーだこーだで十五年も居る。 そうだから和也の性格というのは十分に承知している。 きっと和也はこの場を和ませる為にふざけてくれちゃっているのであろう。 だが仕事では凄い真面目で、しっかりと望のパートナーとして十分にこなしてくれているのだから本当に望からしてみたら和也というのは最高なパートナーだという事だ。
ともだちにシェアしよう!

