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ー信頼ー129
そして望が小学校の校門辺りに着いた頃には額からは滝のように汗が流れ、呼吸なんかは今まで切れた事のないような息切れの仕方をしているようで、体の中で酸素がまだまだ全然足りないようで肩で呼吸を繰り返し、普段走り慣れてない足は痙攣を繰り返していた。 望はやっとの事で乱れていた呼吸を整え額から流れている汗を腕で拭ういながら顔を上げると、望が思った通りの人物がそこにはあった。 そうだ、その人物はやっと望の視界へと入って来たようだ。 しかもその姿というのは望が初めて会った時の消防の制服姿だった。
「……へ? あ、ゆ、雄介……?」
乱れてしまった呼吸の合間から愛しい恋人の名前を呼ぶ。
雄介はその声が耳に入って来たのか、それとも望の存在に気付いたのかは分からないのだが、いつもの太陽のような笑顔で望の側へと駆け寄って来ると、
「今から行こうと思っておったのに……。 って、どないして、俺がここに居るって分かったん?」
望は未だに呼吸を乱しながら、
「だからさ……あの……家から……赤いヘリコプターが見えて……それで、昔、話した事があっただろ? 赤いヘリコプターっていうのは消防庁の……ヘリなんだって……それで、家に居たら、赤いヘリコプターが飛んできて、何だか分からないんだけどさ……何でか、このヘリコプターに雄介が乗ってる気がしたんだよ。 だから、来てみたんだけどな……」
「あー! 前に俺がドクターヘリを見かけた時に確かに話しておったんだっけな……『赤いヘリコプターは消防庁のヘリなんやって』」
雄介はそこで一旦言葉を切ると、もう一度、望の方へと視線を向け、昨日あった出来事を望へと話始める。
「まぁ、とりあえずな、昨日、俺は望の静止を振り切って海に要救助者を助けに向かったやろ? そいで、救助の方は親父と二人で順調にやっておったんだけど、望の親父さん達が最後の船で行ってしまった後、親父と二人で沈没してしまった船の中まで要救助者を念のために探しておったって訳や……。 せやけど、気付いた時には海は台風のせいで荒れておって、いつの間にか、親父と俺は流されておったって訳なんやって。 そいで、流石に体力に限界が来てたのか、死にそうになりながらも頭の中では望の事を考えておったんやけど、いつの間にか意識飛ばしておったんやろなぁ? 次気付いた時には、空は真っ青で、砂浜で周りには何も無さすぎて、まさか、ここが天国か!? って思っておったんやけど、親父もな、俺の隣りで生きておって、二人で歩き始めたら村みたいなのがあって、そこで電話借りて親父はそれで消防庁に連絡入れてヘリ一機飛ばして貰って迎えに来てくれた訳なんやって……。 服の方はな、まぁ、救助作業をしてる時っていうのは、下着一枚だったし、まぁ、服の方はヘリに載ってた服を借りたからな。 そりゃ、消防庁の制服になってしまったっていう事なんやって……」
「そうだったのか……」
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