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対策について 5

佐々木くんの投下した爆弾は、めちゃくちゃデカかった。 まず、店員のおねーさんが、固まった。 迷惑かけて本当にすいません。もう少しだけ我慢しててください。 次に、近くの席に座ってたお姉さんたちも固まった。 声が大きかったのか、聞こえてしまったらしい。穴があったら入りたい。 じゃ!な!く!て!! 「さ、佐々木くん?!それってつまり……」 「?つまりも何も、文字通りだけど…」 「あっ、いや、えっとー… そ、そう!ちょっとボーッとしてて、聞いてなくて…!な、なんて言ったか、教えてもらっていい?」 「ふふっいいよ 僕は、『誰かうちの学校の人と付き合ったら?』って言ったんだよ」 おーまいごっと 素晴らしい笑顔で爆弾投下を繰り返す佐々木くん。 またもや固まる店員さんとお姉さんたち。 もうここには来れないな……。 「えーでもそれって、結局有川と付き合ってるのと一緒じゃない?」 よく言った恵介!! もう無視はしないよ。 「いや、一回別の人と付き合ってることにして、そのまま噂の沈静化をはかるんだよ。 噂されなくなればいいわけだしね。」 「なるほど…?」 うー、言ってることは正しい気がする… でも!だ!け!ど! 「じゃ、じゃあ、誰と付き合ってることにすれば……俺、大根役者だから嘘つくとか無理だし。」 「俺!俺とかどー?」 「うーん…恵介くんはお芝居できる?」 「芝居? 『あーロミオ、あなたはなぜロミオなのー』」 ((うん、ないな。)) 「さ、佐々木くんは?」 「僕はもう婚約者がいるから、すぐ嘘だってバレると思う。」 婚約者? 「え、佐々木もういるの?」 「恵介くんはまだなんだっけ?」 「いや、うちの両親は恋愛結婚なんだよ〜。たから、俺にも『恋しろ!』『恋愛しろ!』って。だから、婚約者とかできないかも。 まあ、もし独り身期間が長ければ、お見合いとかかな〜?って」 ??会話がおかしい。 え、これ、男子高校生がファミレスでする話?しかも、さらっと? おかしくね? いや、俺がおかしいのか? んん?? はっ、そうだ。 俺が通ってるのは『お坊っちゃま学校』と名高い櫻木学校だった! え、つまり『婚約者』とかがいてもおかしくない訳で…?同い年なのに?高校生なのに?? 「えー、佐々木の婚約者どんな人ー? てかだれだれー?」 「んー、秘密」 「なんだよー!ケチー! 優也も気になるよな?」 「えっ、あー、うん」 「ほら、優也もこう言ってるし! なー!おーしーえーろーよー」 「いやー、こればっかりは…ね?」 「なんだよぉぉ!!」 この後、スルリスルリと婚約者の話をかわした佐々木くん。 結局、対策やら作戦やらに関する話題が出るわけもなく。 だらだらと、でも、いたって健全に騒ぎ、この日は終わった。

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