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プレゼント交換

※設定は本編より二年前。高校一年生の二人です。 「クリスマスプレゼント?」 俺は素っ頓狂な声を上げて、ジッと俺を見つめる目の前の幼馴染、高橋冬馬を見た。牛乳瓶の底みたいなだっさい眼鏡に、ボサボサの黒髪。お世辞にもモテそうな感じはしない。 「んー別に、何でもいいけど」 「欲しいゲームとかないの?」 「ゲームはこの前買ったしな……」 正直思いつかない。それにこいつ、昔から高い物でも普通に買ってきて俺をビビらせる。 「この前、ES4が欲しいって瞬ちゃん言ってた」 「バカ、あんなの4万くらいするんだぞ?高校生じゃ無理だろ」 「大丈夫。去年のお年玉と今月のお小遣い足せば足りるよ」 「ダメだ」と言い切り、俺は購買で買ったジュースを飲み干した。 「俺のクリスマスプレゼントより、お前は何か欲しいのねぇのかよ」 「え?んー……今年は……ちょっとここで言うのは恥ずかしいかも」 こいつ何頼むつもりだ。こいつは不思議なことに毎年毎年、俺が身につけている物と同じものを欲しがる。去年は手袋、一昨年はマフラー、小学生の時は「瞬ちゃんがいつも使ってるシャーペンがいい」とか……。 「そんなことより、瞬ちゃんの欲しいもの言って?」 小首を傾げながら、ねだる姿は可愛くはないが、断れない強引さがある。 「んー、じゃあ……」 俺は悩みながら、一つ願い事を言った。 12月24日。 冬休みが始まり、俺は、夕方から冬馬の家に行った。新作のゲームや懐かしいレトロゲームをいくつか持っていく。 今年の俺の欲しいものというより、要望は『一晩中、ゲームの相手をしろ』というもの。その要望に冬馬はキョトンとしていたけど、すぐに「分かった」と頷いた。 夜中にゲームしまくるとかこういう休みの時にしかできないし、一人でするより二人でした方が楽しいしな! 冬馬の家は隣で、30秒以内に着く。インターフォンを押すと、すぐに冬馬が出てきた。 「瞬ちゃん、いらっしゃい」 「ゲームとお菓子持ってきた」 「俺も、瞬ちゃんの好きなジュースとお菓子用意したよ。どのゲームからする?」 「んー、まずは格ゲーからしようかな」 「分かった。すぐにゲームの用意する」 冬馬はすぐにゲームの用意をするため、自分の部屋に飛んでいく。こいつもすっかりゲーマーになったな。 スイッチを入れて、ゲームスタート。聞き慣れた格ゲーのオープニング。何度も冬馬と対戦したゲームだ。 「瞬ちゃんは、どれ使うの?」 「やっぱ、こいつだろ。冬馬はあいつだろ?」 キャラを選ぶと、そのキャラがポーズを決めたり、その場で飛び上がったりしている。冬馬のキャラはいつも決まっていて、小柄な女の子ファイターだ。 「使いやすいからね」 冬馬がニヤリと笑う。冬馬と格ゲーするの久しぶりかも。 二時間後。 10戦やって、俺が6勝した。 「お前、マジで強くなったよな」 「瞬ちゃんがいっぱい遊んでくれたからだよ」 「他の奴らと格ゲーやっても、こんなに燃えないもんなぁ」 そう言うと、冬馬はムッとして、「……あいつらには絶対負けない」とぼそっと呟いたけど、俺は気づかなかった。 「そういや、お前のクリスマスの願い事聞いてなかったな。何が欲しいんだ」 俺がポテチを食いながら聞くと、冬馬はちらりと俺の方を見て、そして、下半身の方に目線を落とした。ど、どこ見てんだこいつ。 「俺、パンツが欲しい」 ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:.. 俺は瞬ちゃんのことが好きなサキュバスだ。 とんでもない設定だと思ってるかもだけど、ガチのサキュバスでガチで瞬ちゃんが好き。 それはもう出会った時から大好きで、絶賛片思い歴更新中だ。 今年、高校に入り、片思い歴13年となった。 サキュバスとして開花したのは11歳の時。もともと瞬ちゃんのことは大好きだったけど、開花してからは瞬ちゃんのことを性的な対象として意識しまくっている。 でも瞬ちゃんは惚れっぽくて、女の子に告白しまくっている。……まぁ、俺が阻止して瞬ちゃんの童貞を守っているんだけど。 「どうやったら、俺のこと好きになってくれるの?」 ずーっと続く、疑問。俺にとっては、『どうして宇宙ができたの?』レベルの超難題。 俺は一人部屋の中で、人工精液の入ったチューブを吸いながら、ベッドの上で寂しく息子をこする。 「んっ……瞬ちゃん……好きっ……好き……大好きっ」 何度か擦り、想像する。 瞬ちゃんに愛撫される妄想だ。こんな妄想、現実になればいいけど、難しい。 擦るのもいいけど、本当に欲しいのは、ここ。 前を弄りながら、後ろの穴にも指を入れる。 「あぁ……瞬ちゃん……欲しいよぉ……瞬ちゃんのがぁ……!」 トイレの時、いつも見てるあのぶっといものが欲しい……。 しゃぶって、口から飲みたい……ううん、やっぱりお尻で飲み込みたい。それで、それで……瞬ちゃんにはいっぱい気持ちよくなってもらって……その前に俺が気持ちよくなっちゃって、瞬ちゃんに怒られるんだ。瞬ちゃん、きっとSだもん……俺のお尻叩きながら、怒って、俺の中に放つんだ。 そんな淫らな妄想をしているうちに、呆気なくイッてしまった。 「瞬ちゃん……早く、本物が欲しいよぉ……」 俺は手についた精液をぺろりと舐めた。 自分のはやっぱり美味しくない。 普通のサキュバスは、複数の相手から精液を貰うらしいけど、俺はそれを受け付けない。だって、瞬ちゃんの精液しか貰わないと決めているから。 ちらりと横に置いてある鏡を見る。今はメガネを外して、裸眼の状態。 この目を使えば、相手を魅了できる。瞬ちゃんを虜にするのは簡単だ。けど、それは何となく出来なくて、今に至っている。だって、サキュバスとしてじゃなくて、『高橋冬馬』を好きになって欲しいもん。 クリスマスイブの日。 瞬ちゃんが『一晩中、ゲームの相手をしろ』というので、要望通り、俺の部屋でゲームの相手をしていた。 ゲームは瞬ちゃんと俺を強く強く繋いでいるものだから、絶対に断らない。 ……瞬ちゃんの誘いなら、どんなものでも絶対に断らないけどね。 格ゲーをし終わると、瞬ちゃんがクリスマスプレゼントは何がいいのか聞いてきた。 俺は学校で言えなかった、欲しいものを言った。 「俺、パンツが欲しい」 「は?」と瞬ちゃんの間抜けな声が聞こえた。 「パンツ?」 「瞬ちゃんの今履いてるパンツと同じものが欲しい」 「今履いてるパンツって……別にブランド物とかそういうのじゃないぞ。3枚で1000円の安物だぞ?」 「いいよ。体育で瞬ちゃんが履いてるのを見て、欲しいなぁって思ったんだ。それに、この前パンツ一枚破けたから、今すぐ買いに行きたい」 「今すぐ!?もう夜の七時回ってるぞ?」 お馬鹿な瞬ちゃんもさすがに今回のは怪しんでいるようだ。行きたくないという気持ちが表情から滲み出ている。 「瞬ちゃん、お願い」 少しだけ、メガネをずらしてみた。魅了まではいかないだろうけど、お願い事は聞いてくれるかもしれない……。 じっと目を見ると、瞬ちゃんの眉間のシワは一つ一つほどかれていく。 「……仕方ねぇなぁ」 上手くいった。 ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:.. 「あー、さみぃ!!」 「瞬ちゃん、これカイロ」 俺がブルブルと震えていると冬馬はすぐにカイロをくれた。気が利くじゃん。 「普通の服屋だぞ?しかも、安物だぞ?さらに、柄物だぞ?お前、パンツは無地派じゃん?」 そんなわざわざ買いに行くものでないような気がするけど。 「瞬ちゃん……俺のパンツの趣味まで知ってくれてるんだ……」 牛乳瓶の底の奥で、冬馬の瞳がキラキラしている。いや、そこ感動するところじゃねぇから。 店に着き、下着コーナーで安売りのカゴの中によりどり三枚で千円の物があり、大量のパンツをかき分け、同じ柄を探す。 冬馬はお坊ちゃまだから、服とか鞄がたまにブランド物だったりする。本人は全く無頓着で気づいてないけど。 だから、こんな安物でもいいのかなぁと思っていた。 「あった!今履いてるやつ!」 俺がパンツを探し当てる。まだ売れ残ってて良かった。 「せっかくだから、もう二枚買ってやるよ」 「いいの?じゃあ……瞬ちゃんが買ったのと同じ柄がいい」 「同じのでいいのか?」 どんだけ俺チョイスのパンツ気に入ってるんだ。 「うん。同じのがいい」 冬馬が欲しいって言ってるから、とりあえず同じものを探したが、二枚目は同じ物があったが、三枚目はなかったので冬馬がいつも履いてそうな無地のものを選んでおいた。 「ほらよ」 パンツを渡すと、冬馬はそっと袋を受け取る。 「瞬ちゃん、ありがとう」 「おう。もう帰るぞ。寒いし!」 「うん」 冬馬はパンツの入った袋をぎゅっと抱きしめる。 「瞬ちゃん、俺、また来年クリスマスプレゼント欲しいな」 「俺の持ってるもの以外な」 俺は釘を刺しといた。 プレゼントなんだから、お前が本当に欲しいものじゃないとダメだろって言うのは、何となく恥ずかしいから言わないでおく。 「…………考えとく」 冬馬は首に巻いたマフラーに少し顔を埋めながら、小さく呟いた。 ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:.. 家に帰り、瞬ちゃんはお風呂入りたいと言ったので、すぐにお風呂を沸かした。 瞬ちゃんが泊まった時は、俺の家で洗濯をしている。俺の物と一緒に洗濯するから、特に面倒くさくもないし、何より……。 「瞬ちゃん……」 俺は瞬ちゃんが着ていた服を顔に埋め、思いっきり匂いを吸い込んだ。 あぁ……この為だけに、俺は進んで瞬ちゃんの服を洗濯している。上着とかも勝手に着て、抱き締められている妄想をする。下着の匂いを嗅いで、フェラの妄想もする。 変態なのは分かってるけど、長年の片思いをこじらせて、こんなことをしてしまっている。 そして、本当のクリスマスプレゼントはこれからだ。 俺はさっき貰ったパンツと瞬ちゃんが履いてたパンツをそのまま交換した。 パンツを自分の部屋まで持っていき、『瞬ちゃんBOX』に大切に大切に入れておく。 この箱の中には、俺が小学生の頃からコツコツ溜めた瞬ちゃんの物を入れてある。 今までは鉛筆やマフラーだったけど、ついにパンツまで手に入れた。 これで、俺の一人エッチが捗る。嬉しいような悲しいような。 いつか、いつか……瞬ちゃんと一つになれる日が来るのかな? 「瞬ちゃん……俺、本当に瞬ちゃんが好き……」 いつか絶対、本物の瞬ちゃんを貰うんだ。

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