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第2話
*ここからは桜音視点で進んで行きます。
第一印象は、綺麗な人。
綺麗な二重で切れ長なのに大きな目に、薄い唇。
高い整った鼻、曇りを知らない肌。
紅茶の色を移したような髪の毛はいつもサラサラと揺れていた。
なのに。
とんだ下半身ユルユルなクソ野朗だった。
いつも女を連れているあの人——桃神先輩を見れば、俺の眉間には皺が寄せられる。
そうするとあの人はさも面白そうに絡んでくる。
それがうるさくて、煩わしくて棘を含んだ言い方で返していれば、いつのまにか俺たちは犬猿の仲と呼ばれるようになっていた。
間違ってはいない。俺はあの人嫌いだし、あの人も俺の事嫌いだろうし。
だけど俺たちをピンクコンビと呼ぶのはやめて欲しい。
何で嫌いな奴とコンビなんて呼ばれなきゃいけないんだ。
本当なら関わりたくもないのに。
そう思っていたのに、日常が崩れるのは突然だった。
***
「桜音く〜ん、待ってよ〜」
「追いかけて来ないでください!」
今俺は必死に、3年生の女子から逃げていた。
『一回だけエッチしてみよ♡』
なんて言われたけど、何で好きでもない人としなくちゃいけないんだ!しかもここは学校だぞ?!
そういうのはあの下半身ユルユル王子に頼んでくれ!!
必死走って、走って、とある部屋に逃げ込んだ。
肩で息をして整えていると⋯。
「あれ?桜音じゃん。こんな所に何の用?」
聞こえてきたのは、自分史上一番最悪に聞きたくない声で。
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