24 / 24
第4話
翌日の朝、変な勘違いをされたら困ると言う桜音は俺より一足早く学校へ行った。
昨日勢いでキスしちゃってから、やっぱり俺の気持ちはおかしかった。
桜音のことを可愛いと思ってしまっているなんて。
否定しても変わらないから、そこは素直に認める。桜音が可愛く感じる。
「男趣味⋯なかったのになぁ⋯⋯」
いくらチャラ男と言われれども、遊ぶ相手は専ら女の子。
男を相手にしたのは本当に気が向いた一握り。それも関係を持ったと足がつかないような。
初めて体験するような自分の気持ちに、戸惑いが隠せなかった。
***
「今日も今日とて、よくもまぁ飽きずに女をはべらかしますね」
「だって女の子可愛いもん」
「もんとか言わないで下さい、気持ち悪い」
自分の気持ちにモヤモヤしたまま放課後、生徒会の仕事を女の子としていれば少し遅く来た桜音が不機嫌丸出しで言った。
いつもの嫌味の応酬、それだけだと思っていたのに今日は違った。
「桜音くんってさぁ、桃神に嫉妬してんの?やっぱり顔だけの男だから実際モテないとか?」
俺の膝の上に座っていた女の子が、いきなり桜音に絡み始めたんだ。今までの子たちは気まずそうに座っているだけだったのに。
ビックリしていると、桜音がますます眉間に皺を寄せた。
「⋯⋯女に庇って貰わないと、自分を正当化できないんですか?」
その言葉は明らかに俺に向けた嫌味で、口を開こうとすれば声が被さった。
「桃神は顔も性格もセックスも出来てアンタ何かと違うんだけど。むしろ桃神と口喧嘩出来るだけ有難く思いなよ。本当は桜音くんにはそんな価値も無いんだからさ」
「⋯⋯アンタに俺の価値を決めつけて欲しくない」
「はぁ?童貞で顔だけいい中身空っぽ男の価値なんてゴミ同然でしょ」
その言葉に、桜音の顔が傷付いた色を浮かべた。
ともだちにシェアしよう!