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第3話

「—なっ?!ッン、んん⋯!」 何かを言おうとした桜音の口にキスをする。 柔らかくて、暖かい唇は女の子と何ら変わりはない。 舌で唇をトントンとノックするも、桜音は頑なに口を開こうとしない。 仕方なしに、首元に指を這わせる。 「っんぅ!」 敏感な桜音はそれだけで反応するから、微かな喘ぎ声を漏らした瞬間に舌を滑り込ませた。 グニグニと弾力がある柔らかいそれは、奥へ奥へと逃げ込もうとする。 逃がすわけないのに、そう思いながら追いかけて絡め取る。 「んんッ、ンンーー!!」 暫く味わってたら、肩をバンバンと叩かれて最後に舌を甘噛みして名残惜しいけど離してやる。 「ぁっ、この⋯っ、息、できなっ⋯⋯」 「そんなの鼻でするんだよ〜。あ、桜音は童貞で女の子とキスした事も無かったから知らなかったか〜。ごめんごめん」 「童貞じゃないし、キスだってした事ある!!」 「え、何々?処女じゃないし、ファーストキスは桃神先輩とだった?」 「ちっ、違う!!クソ、このバカ王子が!!」 「こら。お口悪いともう一回キスするぞ」 そう言えばピタリとやむ罵詈雑言。 あら、残念。 「なんだ。桜音の事だからキスしたいのかと思ったのに」 「はぁ?寝言は寝て言って下さい」 そんな嫌味の応戦をしながらも、桜音は目を擦っていた。 どうやら良い子な桜音はもうお眠らしい。 「ほら、嫌味とか悪口は明日聞いてあげるから今日はもう寝な〜」 「うるさ⋯、言われなくても、寝る⋯⋯」 「はいはい」 ベッドの布団に促せば素直に潜り込んで、ウトウトし始めた。その上からトントンと叩いてやればすぐに寝息をたて始めた。 何でこの子はこんなに無防備なんだろう。

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