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 16:34 依頼人C&D登場 「おい! 生徒会!! オカルト研のやつどーにかしてくれっ!!」 「なっ!! 一瀬君、君からも言ってくれたまえ。 雑音で研究に集中できなくて迷惑しているんだっ!」  ドアを壊しそうな勢いで飛び込んできたのは2人組のお客様。  一人はギターを担いだバンドマン風の人。  ツンツンに尖った頭で、パッと見ちょっと怖い。  もう一人は頭からすっぽりと黒装束をかぶった怪しい人。  出来ればお近づきになりたくない雰囲気だ。  というか、二人とも校則は大丈夫なんだろうか。  服装も髪型も思いっきり抵触している気がするんだけど…。 「雑音だとぉおおお!? オカルトなんか研究してるような頭のイカレタ奴には崇高な音楽は理解できないんだなっ!」 「失敬な!! オカルティズムとは本来神秘、不可思議な事柄をめぐる観念と儀礼や慣行を意味し、やがてあらゆる種類の呪術的、秘儀的、奇蹟的な観念と儀礼や――」 「あーあーあーっ!! 小難しい話はいらねえからっ!」 「ふんっ。 雑音を奏でるしか脳がない蛮人には到底理解できん話だったな」 「んだとぉ!? おいっ! お前らもぽやぽやオロオロしてないで何とか言えっ!!」  あ、こっちに矛先が向いた。  先輩のぽやぽやはともかく、僕がオロオロしてるのもバレてた。  おかるてぃずむ、難しい。 「ん~、オカルト研究部の言い分は何となく分かるんですが、軽音部は何に困ってるんですか~?」  確かに。  騒音は典型七公害の一つでもある社会問題だ。  高校の軽音楽部が放課後に奏でる音が騒音というのもおかしな話だけれど、わからなくはない。  けど、オカルトが引き起こす問題ってなんだろう? 「あー…、うちのボーカルがよぉ、悪魔とか幽霊とかそーゆーのが苦手でよぉ…」 「我々の研究で、そのようなものを呼び寄せたりはしておらんっ!」 「知らねえよっ! 端から見たら似たようなもんだろ! 真っ黒い衣装着て大勢集まってブツブツやってよぉ…」  それは、悪魔とか幽霊以前に普通に怖い気がする。 「いいんだよ、別に研究とかすんのはさ。 オカ…オカルトリズム? とかなんとか、お偉い研究なんだろ? よくわかんねえけどさぁ…」  おかるてぃずむ、だよ。  心の中で突っ込んでみるけど、正直僕にもよくわからない。 「よくわかんねえけど、頼むから目につくところでやらないでくれよっ!!」  あれ、軽音部さん…涙目? 「え…? あ~、いや、そんな…、泣かなくても…」 「泣いてないっ!!」  いえ、泣いてますよね。  軽音部さんの涙目攻撃にオカルト部さんはタジタジだ。 「ん~、部室、変えちゃいましょうか~」 「「は?」」  場の微妙な空気を一瞬で壊すようなぽややん口調に、オカルト部さんも軽音部さんも呆気にとられている。  春だから大丈夫大丈夫~、と探偵自らの積極的に謎を生む発言に、助手の僕もついていけない。 「軽音楽部は~、第二視聴覚室を活動場所にしてください~」  以上、とお得意のニッコリ笑顔で事件解決宣言をされた。  16:51 依頼人=助手Y 「先輩、謎解き編やってください」  頭の中で名探偵のぽややんの事件簿を繰り広げていた僕は、依頼人が居なくなった探偵事務所で一瀬先輩に依頼した。 「うん~? 謎解き編~?」  面白いこと言ってるね~、と笑ってはいるが質問には答えてくれそうだ。  一人目の依頼人の時から気になることはたくさんあった。  とりあえず、最後に来たインパクトのある二人。 「何で第二視聴覚室なんですか?」  二つの部活の揉め事の解決方法が、何故軽音楽部の部室を視聴覚室にすることなんだろうか。  結果的に異論は上がらず、部室移動は明日からということで本当に決定してしまった。 「あ~、軽音楽部~? 防音のお部屋がいいかな~って~」  名探偵の推理によると、こうだ。  軽音楽部とオカルト研究部はその性質上、人気のない校舎の端の教室を部室にあてがわれている。  軽音楽は音が出るから。  オカルトは研究者が薄暗い所を好んで。  数年前から変わらず、同じ場所を部室として使っているそうだ。 「それならどうして去年は問題が起こらなかったんですか?」 「それは簡単なことだよ~」  各部活は、曜日ごとに活動日が決まっているので去年はそれが上手くずれていたので問題にならなかったらしい。  しかし、新年度になりそれが重なってしまい、今日の問題が発生した、ということだ。 「なるほどです。 なら、どうして移動先が視聴覚室なんですか?」  音楽、と名前に付くのだから音楽室の方が適しているはず。  防音とはいえ、何故視聴覚室? 「それもね~、簡単な理由だよ~。 他の教室は使われているからね~」 「───あ。 なるほど…」  第一音楽室は吹奏楽部  第二音楽室は合唱部  第一視聴覚室は映画研究部  この学校山程部活があるんだった、と数日前に見たばかりの掲示板を思い出した。  ということは、先輩はあの一瞬でそこまで考えていたとうことだろうが。 この人、実は本当に名探偵なんじゃないだろうか――。

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