64 / 213
episode3-12
「………もうふらついてないから転けないけど。」
「そーじゃないって笑恋人繋ぎ。」
嫌?ときかれて
なんて答えたらいいのかわからなくて、別に、と京から目を逸らした。
「今日も酒、買った?」
「んー?俺の分のビールだけ。」
「………ずるい。」
「うそうそ、侑稀の分もちゃんと買ったって。」
「…ビール?」
「いーや、苦くないやつ。」
京は俺の好みを把握してるから
食べ物のことは安心して任せられる。
「……これ、動きづらい。」
「じゃあ離す?」
「…いい、離さなくて。」
京を彼女と比べるのはちょっと変なんだろうけど
こんなふうに誰かと手を繋いで歩くのは
ちょうど1年ぶりかもしれない。
いや、もっとか。
ともだちにシェアしよう!