「……相手も戸惑ってんじゃねぇ？その友達は、いっつもそーゆーことしねぇ奴なんだろ？」 「……まぁ。」 藤井先輩には絶対俺の話だってばれてることはわかってるけど 先輩は優しいから、ちゃんと友達の話ってことにしてくれているんだろう。 「その、同性同士のことだし、相手もどう踏み出していいか迷ってるんじゃねぇの？」 「………そーゆーことなんすかね。」 「その友達的には、どーしたいと思ってんの？もっと進みたいと思ってんのか、今のままでいいのか。」 「……進みたい、んじゃないんすかね、そりゃあ。」 好きな相手なんだし。 俺が言うと、それを伝えたらいいんじゃねぇ？と先輩は俺の肩をぽん、と叩いた。 「要は、自分にとって”好きな相手だ”ってことを伝えたらいいと思うけど？俺は。」