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episode6-16
「…別に、そんなことないっすよ。」
それじゃあ、と俺は歩いて自分の家まで帰って
鍵を出そうとして、もう家に京がいるのを思いだした。
「ただいまー。」
「お、おかえり。バイトお疲れ、」
「ん。」
暑かった、と俺が言っているのにも構わずに
京はぎゅう、と俺を後ろから抱きしめた。
「……暑いって、」
「嫌?」
「………別に嫌とは言ってないけど、」
俺は京のこの質問に弱い。
嫌?と聞かれて、嫌と答えられたことがない。
まぁ別に嫌なわけじゃないから、言わないだけだけど。
「侑稀体温低いから気持ちいいんだって。」
「京はよくても俺は普通に暑いんだっての、」
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