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第3話

「うん。とてもきれいな筋肉をしているね」  シティホテルの一室。そこでナオは一糸まとわぬ姿でバウダールームに立っていた。 「まじまじと見られると、恥ずかしいですね……」 「それはお互い様だよ」  ゆっくりと視線を落としたナオの目には、すらっと長い手足に水滴が落ち。ナオの様に鍛えているわけではないが決して衰えてはいない、しなやかな体にバスローブが羽織られる。そしてペニスは体格に似て太さは足りないが長さがいい。あれで体内を掻きまわされるのかと思うと下半身が反応する。 「ふふ……ナオ、きみは可愛いね」  そう言ったジンはナオの腕を掴みバスルームへと引き込む。 「あ……」  肩に触れた素肌と耳元にかかる息。 「今すぐにでもきみに触りたいけれど、我慢するよ。ゆっくりと入っておいで。僕の事は気にしなくて良いから」  ジンが扉を閉めると、暫くしてからシャワーの音が聞こえる。そして窓の外でも。 「今日は、面白い偶然が重なるものだな……」  ジンが初めてナオを見た日もこんなふうに水飛沫が舞っていた。急な夕立に肩を濡らして駆け込んだ喫茶店にナオも入ってきたのだ。ナオはジンよりも遥かにずぶ濡れになり、豊満な筋肉にはシャツが吸い付いていた。どこにでもいるような男の子なのに、その胸板を見て、むしゃぶりつきたくなる衝動に駆られた。  そんな思い出深い空を見ながらジンはカバンからチューブを取り出すと、ベッドで高く突き出した尻に中身を注いでいく。 「ん……」  その日の夜もこんな風に年甲斐もなく彼を思ってアナルを弄っていた。まさか、欲しくて堪らなかった彼が目の前に現れるとは思わなかった。二度とないチャンスをゆっくりじっくりと堪能するために下準備を進めているとガタリと音が鳴って、ナオが入浴を終えてこちらにやってくる。その足音を聞きながらバスローブを羽織り直し彼を迎え入れる。 「お待たせしてすみません」  バスルームを出て向かったベッドルームには同じバスローブを羽織ったジンが長い手足を広げ、ゆっくりとナオを見る。 「とんでもないよ。待つのもまた、楽しみの一つだからね。さ、こっちへおいで」  紳士的な態度と笑顔に引き寄せられるようにナオはベッドの前に立つ。 「ローブは脱がずに僕の前に跨ってくれるかな?」 「はい」  ジンの前で膝立ちになったナオは、先ほどよりも期待に満ちた目と体でジンを見下ろす。そしてジンもまた。 「ナオ。たっぷりとキミを味わわせてほしい」  唇を微かに濡らしローブの中に手を差し入れる。筋の通った太腿をなぞり、起ち上がった男性器に口づけするとナオの腰がぴくりと動く。舌を這わせ、亀頭を口に含みアイスキャンディを食べる様に舌で転がすと、口の中に広がる雄の味。この味と匂いを感じると一気に下半身が熱くなってくる。  頭上では、口元を押さえ与えられる快楽に身をゆだねるナオが腰をしならせては、ペニスと同様に乳首をビクつかせている。  何て絶景なのだろう。そう思ったジンはローブの腰ひもを解き、わき腹の筋肉を手のひらに感じながらナオを押し倒す。六つに割れた腹筋に舌を這わせ乳首を転がすとナオは指を食む。その食んだ指に鼻先を付け口の中へと舌を滑り込ませる。 「んっ‥…」  互いの手を握り、舌を絡ませ合う。ジン尻に触れるナオのペニスをゆっくりと飲み込むと、ナオの体がビクッっと跳ね、呻き声を出す。 「んっ、んんっ……」  ペニスが触れた個所からじわじわと熱を帯びる感覚は何年ぶりだろうか。 「あ、あぁ……」  急速ではなく揺蕩う快楽が何とも言えない。そして全てを飲み込んだ後に脳の奥がぼおっとする感覚に吐息が漏れる。久しぶりの男。しかも、焦がれていた相手。 「ナオ、動くよ……」 「あ、あの……。んぁッ……」  一瞬戸惑った表情を見せたナオだったが、すぐにジンの動きに息を飲み、微かに下唇を噛みながらその快楽を受けいれる。  不思議な感覚だった。ナオは過去に女性と付き合った事もあればタチ側に回ったことも有る。でもそのどちらも気持ち良くなかった。なのに今は、抱かれている時と同じような高揚感がある。腰を振りながら気持ちよさそうにするジンの表情に興奮する。そして腹の上にカウパー液が落ちる度にそこからもやもやとした快楽が溢れてくる。 「あっ……ジン、さん……俺……」  抱いているのに抱かれている感覚。 「あ、は、ぁっ……。ナオ、気持ちいよ。とてもきもちいい……」  尻が疼いて疼いてたまらない。目の前で涎を垂らすジンの様に犯されたいと願えば願うほど、腰が激しく動いていく。 「あ、あぁッ……ジンさん……」  強く押し付けたジンの尻にドクドクと精液が注ぎ込まれ、ジンは恍惚な表情でそれを受け入れる。 「はぁ‥…ナオ。最高だったよ……」  紅潮した頬とそこに髪を張り付かせてそう囁くジンの色気は抱かれたいとも抱きたいとも思う。 「ジンさん。俺……」  未だ不思議な感覚が引かない。この余韻は気持ちいいけれど、でも切なくて。手を伸ばして頬に付いた髪をそっとすくう。 「俺もあなたが欲しいです」 「そうか……。きみもそうだったのか……」  何かを納得したように頷いたジンは差し出された手を掴みその指先を舐める。 「ナオ、自分でほぐしているところを僕に見せて……」  そう言って笑うジンに首筋がぞくりと震える。 「脚を広げて。ペニスもお尻も僕に丸見えになる様に」 「あ……」  ジンはナオの膝を広げ、腹や太腿にローションを零していく。 「君の頭の中が僕でいっぱいになった時、僕の物で蓋をしてあげる」  耳元で囁かれる言葉と下半身をなぞるジンのペニスにぞくぞくと体が疼き、ナオは伝い落ちるローションを指先で掬い、尻に宛がう。  ペニスの尖端でひだを何度もなぞり、少しだけ中に入ったペニスは奥に入る事無く外へと出ていく。 「あ、はぁ……」 「ふふ、良いよナオ。とてもいい……」  起ち上がっていくジンのペニスを視界に入れながら、ナオは太腿を摩り、またひだを摩る。 「はぁ……じん、さん……」  そして緩やかに収縮を始めるそこに指を入れゆっくりと押し広げていく。追加されたローションが指を抜き差しする度にぐちゅりと音が鳴り、切なさで涙が出る。 「ジンさん……もう……」  ジンに高く掲げられた足。指を抜き数センチ腰をあげたら触れる距離にあるジンのペニス。 「ぁ、はぁ……ジンさん……、お願いです……」  指を抜き、ナオは乞うように奥の奥まで疼きしびれるアナルを指先で押し広げる。 「ナオ、僕はね。ナオがとても気に入ったんだ」  そう言ったジンは勃起したペニスをくすぐる様にナオの指に擦り付ける。期待に涎を垂らすナオのペニス。物欲し気にヒクヒクと動く穴。不安に満ちた表情とその全てが詰まった胸で勃起する乳首。 「ナオは僕を受け入れてくれるかい?」  何もかもが丸見えで。こんなにも征服欲を駆り立てられる子は初めてだ。 「僕を受け入れてくれるなら、ナオのここにたっぷりと愛情を注いであげるよ」  ジンはそう言いながらペニスを滑らせ先端を入れる。ナオからは甘い息が漏れ、頬が紅潮していく。 「お願い、します……」  今のナオにはジンの言葉の意図は分からないだろう。でもきっと、ナオはジンの全てを受け入れてくれるそんな気がしてならなかった。 「あぁ、ジン、さん……きもちいい、です……」 「僕もだよ」  ナオを穿つ度。錯誤的な感覚に見舞われる。またナオが欲しくて仕方なくなってくる。 「キミとのセックスは癖になりそうだ……」  オスとメスが交互に現れる感覚に舌なめずりをしたジンはナオの中に感情をぶちまける。二度と手放したくないと。

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