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宋山の花児 5(性描写あり)

※性描写あり  先程は軽く掠める程度だった下着が、今ははっきりと腿を通り過ぎる手に触れて来る。俺はずっと往復するばかりだった手の動きを変え、膨れた股間を下着ごと手中に収めた。下着の中は昂った熱によって蒸れており掌がじっとりと湿るが、しかしその湿りが蒸れのせいだけでは無い事は、膨らんだ布の中でぐちゅりと肉と粘液の擦れ合う感触が物語っている。 「ぁ…っ、あ、揉まないで、ください……っ」  下着越しに弱い力で指を動かしてみると、もじもじと揺らすだけだった腰がびくびくと痙攣する。 「嫌か?」  問えば、ハッとした様に左右に首を振る。嫌な時は拒めと言った事を思い出し、拒めば行為が止めになると思ったのだろう。 「続けて、ください」  震える声で囁いて、再び自らの体を明け渡す。責めを拒まない事を表す為か、足首に引っ掛かっていた下穿きから自ら足を抜き、閉じていた両脚をゆっくりと開いた。布地の喰い込んだ門渡りまでが目の前に晒け出される。手で触れた感触から分かってはいたが、前に染みが滲んでいた。やや色の褪せた紺色の生地がそこだけ濃くなっている。  俺は染みの出来た辺りに手を置き、再び布越しに触れた。今はもうかなりはっきりと形を持ったそこを擦ると、翠の方も再び腰が動き出す。 「ん…、ぅ、ん…っ、」  引き結ばれた唇から堪えた声が時折漏れ出し、それが恥ずかしいのか翠は片腕を持ち上げて目元を覆い隠した。しかし浅く繰り返される荒い鼻息や上気した頬がその身に籠った快楽を如実に物語っている。  ふと、翠は精通しているのかという考えが頭を過ぎった。十五にもなれば当然済ませているものと思い込んでいたが、脛毛も録に生え揃っていない体を前にしてはその常識も危踏まれる。 「おい」  声を掛けると、腕の間から蕩けた瞳が見返した。 「……はい、何でしょう……?」 「お前、精通はしているか?」  意図を掴みかねたか、怪訝にこちらを窺う翠に己の疑問を問い掛ける。 「このまま達かせようと思っていたが、まさか精通がまだではとふと思い至った」  言うと、既に赤らんでいた頬が更に瞬く間に朱に染まる。恍惚としていた黒目がみるみる見開かれるのを見て、不味い問いをしたと後悔した。 「そ、そのような…っ、俺はもう十五で……」  子供扱いされたと感じたのか、咎める様にこちらをじっと見る。と思えば不意に眉を下げ、項垂れた。 「……いえ、俺の(なり)を見れば、そう仰るのも無理はありませんね。……ご心配はいりません。十二の頃に済ませています」 「……いや、こちらこそ、詰まらぬ事を聞いた」  間もなく達すると言う時に水を差してしまったと、詫びの気持ちで翠の頭に触れる。軽く髪を掻き混ぜると翠には伝わったのか、その桃花眼の目尻をとろりと下げた。  髪に触れながら下着の紐へ手を掛けて腰の両脇の結び目を解くと、達する寸前まで昂っていた逸物(いちもつ)が布地と腹の間から首を擡げる。  そのまま下着を尻の下から引き抜けば、男根を収める袋の部分がぐっしょりと重く濡れそぼっている。俺の手にぶら下げられたそれを目にした翠が、見て居られないと目を逸らした。 「いけません。芳さま、そんな汚い物に触れないでください」  脱がせた下着がこうも濡れていては布団の上にも絨毯の上にも置く訳にも行かず、止むを得ず沓を脱いでその上に落とす。すると小さな布にしては重たい音を立て、その音に羞恥を煽られたらしい翠はますます眉を下げた。 「本当に……初夜の癖に、はしたなくて」  すみません、と消え入りそうな声で呟いた翠の耳が赤いのが目に入り、思わず喉奥から笑いが込み上げる。 「……いや、済まない。馬鹿にした訳では無い。案ずるな、そうやって(うぶ)に恥じらっている内は、まだまだ生娘と同じだ」  萎えずに勃ち上がったままの逸物の竿に手を添える。 「ーーっ、」  萎れていた翠がハッと身構えるのを目で制し、手指に粘液を絡める様に扱く。流石に付け根には毛が生えていたが、散々下着の中で弄くり回したせいで今は腹に張り付くようにして濡れそぼっており、首から根元まで指四本に少し余る丈の翠の逸物を扱くとそれが触れた。 「っ、芳さま、っあ」  布越しと直接ではやはり違うらしく、翠は先程までとは桁違いに乱れ、息を乱して腹をびくびくと寝台から浮かせていた。扱くのが余程悦いらしい。 「〜〜〜っ、ぁ、っく、〜〜っ」  俺からすれば自慰と変わらぬ様な、ただ扱くだけの動作でもこうも反応が良い。弄り甲斐があるからと夢中で責め立てていると、その指に白い手が重ねられた。己の無骨な手と並ぶとまるで女の様に映るその腕を辿って行けば、首筋に玉の汗を浮かせた翠が声も無くして袖を噛み締めている。 「だめ、だめです……こんな……」  はげしくて、と殆ど吐息の様な声で囁く翠の額に、汗が一筋流れ落ちる。張り付いた前髪を剥がしてやろうと空いた手を伸ばすと、紅く染まった目尻に触れ、言葉を失った。袖を口許に動かした為に露わになっていた顔を、この時初めてまともに目の当たりにする。  桃花眼は異性を誑かす魔性の相だと言葉では聞いていたが、色香を纏ったそれを間の当たりにするとその意味が良く分かる。素面の時、澄んだ白目の色や密な睫毛に作り物めいた造形美を感じていたその双眸は、今や凄絶な艶を放っていた。潤んだ黒目や染まった目尻が、作り物めいた美から生々しい色気へと纏う気配を変えている。 「…………」  無言で裏筋に親指の腹を這わせると、潤んだ流し目がこちらへ向けられた。その怯えた様な上目遣いに、己の何処かに火が灯る。その火種が瞬く間に弾けるのを感じながら、親指は螺子を巻いたかの如き正確さで裏筋を責め立てていた。 「〜〜っ…ほ、うさま、〜〜〜ッ」  噛み締めた袖の隙間から名前を呼ばれるが、哀願する様なその呼び掛けには答えずにひたすら手を動かし、責めを与え続ける。翠は止めど無く迫る快楽に耐えようと爪先が立つほど親指に力を込め、袖の端を離さずに咥えているが、跳ね上がる腰とこれ以上無い程にせり上がった玉袋が、射精が近い事を知らせていた。 「〜〜っ、ぁ、ぅ、くぁ……ん、〜〜〜っ!」  限界まで張り詰めた逸物の感触に仕上げとばかりに亀頭を捏ね繰り回すと、翠は両の膝を合わせ、がくがくと震わせながら呆気なく達した。

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