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【問2】(3)

「俺童貞だけど、せんせいだって後ろは処女ですよね?」 「しょ、じょ……とか、言うな。男だぞ」 「関係ないです。俺せんせいに童貞もらってほしいし、せんせいの処女ほしいです」 「だから、お前なっ、オッサンに向かって何言ってんだよ、昨日から」 「せんせいはオッサンじゃないです!」 突然、机の上で右手を掴まれた。握っていたペンごと、小鳥遊の両手で包み込むようにされたそこに、じわりと汗が滲む。 「せんせいは、かっこいいしキレイで、俺、びっくりしたんです。一目惚れって本当にあるんだなって。それから、俺のクラスの数学持ってくれるって知って、運命だって思いました」 随分お手軽な運命だな、と思いはするが、勿論口にはしない。高校生の語る運命なんてそんなもんだろう。 それよりこいつ視力はどうなってる。かっこいいはまだしも、キレイって何だ。そういえば可愛いも言われたんだった。 「俺、いっぱい職員室来たり、ウザかったかもしれないけど……でもせんせい、優しくて。笑ってくれるから、顔見るたびに、どんどん好きになって」 俺を壁際に追い詰めたときと同じ、必死な目をしていた。 捕まってしまって逸らせない。 手にも力が込もっていて、少し痛い。 「だから……、俺の好きなひとのこと、オッサンとか言わないでください!」 ーーあ、こいつ、本気だ。 小鳥遊の目を見て、ついに認めざるをえなくなる。 俺だって、人を好きになったことはある。三日、いや四日前に振られた彼女のように。 その逆に、そこまで好きじゃない相手と付き合ったりセックスしたことだって、ある。 だから、わかる。わかってしまう。 言ってることもやってることも問題だらけではあるが、どうやら小鳥遊は本気で、俺なんかを好きらしい。

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