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第11話
23時5分前――。
アラタに手首をつかまれ、部屋の中心に敷いてある布団まで連れていかれる。
当然のようにそれはひと組しか敷かれていなかった。
シングルサイズの布団の上から逃がすまいという、アラタの気迫をそこから感じ取る。
それから枕元に転がされた箱ティッシュにローション、それにスキンの袋に目が行った。
脱衣所で僕がモヤモヤしてるうちに、ここは準備万端になっている。
余裕のキスで僕をさらってきたアラタも、さっきまでこっちでソワソワと準備をしていただろうことを思うと、少しほっこりしてしまった。
(アラタ……)
顔が火照るのを感じながら、僕は年下の恋人を見上げる。
オレンジ色の光に照らされたその顔は、普段になく緊張して見えた。
経験の少ない僕を一生懸命リードしてくれる、こいつのことが愛おしい。
「どうすればいい?」
聞くのも情けないけれど恥を忍んで指示を仰ぐと、アラタが布団の枕元を示した。
「先輩はそこ座って」
「ここ?」
「……そう。そのまま脚開いて、ひざ立てちゃいますか」
アラタは強ばった声で言ってくるのに、それに従っていると途端にいやらしい格好にされてしまう。
「下、自分で脱いで」
「えっ……?」
「先輩が自分で脱ぐところが見たいです」
アラタも四つん這いになり、耳元に甘い声を吹き込んできた。
「先輩……もう1時間切ってますよ?」
「……っ!」
そうだ、1年前にした約束を果たすためには、ためらっている時間はない。
脚の間を見せつけるような恥ずかしい格好のまま、僕はトランクスを足首へと滑らせる。
(あっ……)
こんな緊張感のある状況でも、僕の雄の部分は中途半端に持ち上がっていた。
アラタがごくりと唾を呑み、そこに視線を注いでくる。
羞恥に耐えかねて、僕はとっさに脚を閉じようとした。
けれど、そうさせてはもらえなかった。
「先輩、ダメです。ちゃんと見せて」
ひざ頭をつかまえ上から視姦したかと思うと、アラタはそのまま両膝の間に顔をうずめていった。
「あっ! 待っ――…」
止める間もなく先端にキスが落ち、次の瞬間には熱い粘膜に包まれる。
「あら、た……それ……!」
その大胆な愛撫に、胸の鼓動が速くなった。
キスの上手いアラタは、唇と舌と、それからのどの奥まで器用に使って僕のそこをなだめてくる。
脚の間で揺れる彼自慢の金髪を見ながら、腰が勝手に揺れ始めた。
「んんっ、ダメ……そんな舐めたらっ」
金色の髪に指を絡め、強すぎる刺激を押さえ込む。
「アラタ……やだっ、顔上げて!」
こうされるのが嫌なわけじゃないけれど、顔が見えない、声の聞けない状況にだんだんと不安になった。
「先輩っ、お願いだから……このままさせて」
唇をつけたままのアラタの、くぐもった声が聞けて幾分ホッとする。
そしてホッとした途端、咥えられた中心に集まってくる血潮を感じた。
「あっ、もう……っ、出ちゃう!」
慌てて頭を押しのけようとするものの、アラタはそこから離れてくれない。
「……アラタ!?」
イクならイって!
根元を追い詰める手の動きがそう告げていた。
「ああっ、も……ダメだって……っ」
諦めの境地になって天井を見上げる。
壁の時計は23時15分。
自分よりずっと美人な恋人ののどに、僕はこらえきれない欲望をぶちまけた。
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