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番外編 「楽になりたい?」

【 「楽になりたい?」 】 「倉科ぁ・・・・・・いい加減ソレ出してぇ」 涙目の雛森が倉科の手元を見ている。 先程から送られてくる雛森の熱視線に気付いていた倉科は唇の端を吊り上げて、意地の悪い笑みを浮かべた。 「どうしようかなぁ・・・・・・なぁ、ユキ、ちゃんとお願いしてみな?」 ぺロッと上唇を舐める。 可愛くお願い出来たらご褒美をあげるよ、と雛森の耳元で囁く。 「・・・・・・い、意地悪」 雛森が俯く。 「ユキ、いい子だから・・・・・・ほら、言ってみ?」 倉科の指がゆっくり動く。 「く、倉科ぁ・・・・・・お、お願い・・・・・・・・・・っから」 雛森はぐっと悔しさで歯を食い縛る。 「・・・・・・俺・・・・・もう・・・・・・出したい・・・から・・・・・・」 「ん、もう楽になりたい?」 倉科は嬉しそうだ。 (・・・・・・くそぉ!!) 雛森の指先が震えている。 「何?雛森くんもう限界なの?しょうがないなぁ、僕が助けてあげるよ」 倉科の隣から、ひょっこり充が顔を出して手を伸ばす。 「おい、ちょっ・・・・・・充!邪魔すんっ」 更には逆サイドから・・・・・・ 「んじゃぁ、僕もコッチから攻めてあげようか?」 要の手が伸びた。 「おい、要!」 「えぇ~!皆もう我慢出来ないのぉ?」 啓太が声を上げる。 「まだ早いよぉ!こういうのはぁ、もうちょっと焦らしてからさぁ!」 「うっせぇ!啓太がクラブの8止めてるから悪いんだろぉ!!」 彼らの手にはそれぞれ数枚のトランプ。 そして、彼らが囲むテーブルの上には何枚かのトランプが表向きで並べられている。 そう、いわゆる、七並べというゲームの真っ最中。 「俺のカード、なんで1とかKとかばっかなんだよ!」 雛森は既にルールとして決めていた3回のパスを全て使ってしまっていて、もし次出せなければ罰ゲームが待っていた。 「だいたい倉科の配り方がおかしい!絶対俺をビリにしようとしてるだろぉ!!」 (ちなみに、罰ゲームって何だったんですかぁ?) ギャイギャイ騒いでいる雛森探偵事務所の入り口で、久しぶりの依頼人であった女性が、真っ赤な顔をして立っていることを彼らは知らない。 END

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