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なんだそれ!なんだそれ!いつからこんな、くっそ可愛くない子になってしまったんだろう。
親を親とも思わないその態度。いや、今まで親らしいことなどしたこともないけれど、それにしたって──。そっちがそういう態度なら、もう無視してやる!
我ながら大人げないとは思いつつ、広務は無言で朝食の皿を荒々しく置いた。ガチャンと派手な音がたったのに、瑛太はアニメに夢中だ。まるでここに広務が存在してないかのように。
ドタバタとわざと音をたてながら布団をあげても、瑛太は広務の怒りに気づく様子もなく、だんだんバカバカしくなった。下の部屋の住人にも迷惑だろうし、バタバタと忙しなく動くのも意外と疲れる。
広務はため息をひとつ吐き、朝食のテーブルに自分もついた。
「とーちゃん、ショーユ」
机の角を挟んで瑛太の隣に腰を下ろすなり、あごで使われムッとする。聞こえないふりをし目玉焼きをつついていると、昨夜コンビニで買った子供の握りこぶしほどの大きさのロールパンを一口で口の中に詰め込んだ瑛太が、再び醤油を要求した。
「おふぉー、ひょーふふぉっふぇ」
リスのように頬がもっこもこに膨らんでいる。なぜ一口大にちぎって食べないのか。
このまま怒り続けているのもあほらしくなり、キッチンから醤油さしを取ってきてやった。瑛太は当たり前の顔でそれを受け取り、醤油をかけた目玉焼きを食べる。
ありがとうもなしか、と思ったが、自分もこの程度のことで母親に礼など言ったことがないことに気がついた。
これが家族に与える無償の愛なのか。当たり前だと思っていた全てのことに、今さらながらに感謝の念に堪えない気持ちがわいた。
その後二時間ばかり各局のアニメ放送をはしごした瑛太は、突然思い出したように広務にすり寄ってきた。
「ねー、今日、俺、散髪だったよね」
朝食の用意、洗濯掃除と、まるで主婦のような休日に翻弄されていた広務は、瑛太の言葉で今日のスケジュールを思い出す。この後さらに昼食の用意をしなければいけないのに、美容院にまで連れて行かなければならないのか。疲れる。
「どこの美容院行くんだっけ?一人で行ける?」
どうせ近所の千円カットの店だろうと、昨日香子から渡されたメンバーズカードを確認した。
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