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第30話

立華一縷と東条蒼は周りから盛大に祝福された。 周りからの催促されて、後日披露宴を執り行うことになった。 高校時代の友人、会社の同僚・先輩・後輩、取引先の人…。 とにかく彼らに関わって、結婚のことを知っている人が多く駆け付けた。 前世では一緒にいるだけで周りから咎められた。 今世では前世ではあり得ないくらいの多くの人からこれ以上ないくらい祝福された。 前世の記憶がある二人からすれば、罰が当たるのではないかと思うほどに幸せだった。 それだけ今の状況を感謝した。 二人で並んで挨拶していた時、隣にいた一縷が蒼にそっと耳打ちをする。 「なぁ、あお。今夜いい?」 蒼が一縷を見ると、そこには優しい面持ちの一縷ではなく、皆がいるにも関わらず、獰猛な獣の目をした一縷がいた。 「断ったってするんでしょ?」 「分かってんじゃん」 「いいよ。付き合う」 「やったね。今夜は止まれそうにないから今から覚悟しとけよ」 「今更でしょ。いつも止まれてないよ」 「そうだったか?あと、そろそろ蒼たちの発情期だろ?薬飲むなよ」 「確かにそろそろだけど……えっ!?」 蒼が驚いて一縷の方を見ると、一縷は蒼から離れて一縷の会社の人と話していた。 なぜ一縷は蒼の発情期のタイミングを知っているのか。 蒼の謎が深まるばかりだが、今は来賓が多く、お互い対応に追われている。 あとで確認しようと蒼は思い直し、来賓への挨拶に戻った。 絶対に幸せにならなければならない。 この日二人は心に誓った。

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