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第9話

 何度しても飽きることはなかったが、四度目に果てた後三品の胸元で頭を撫でられているうちに亨はいつの間にか眠っていた。  カーテン越しの柔らかい光に少しずつ意識が覚醒する。ぼんやりした頭で周りを見回し、見慣れない室内に焦点が合うのと自分が今どこにいるのか理解して飛び起きた。知らない間にベッドに運ばれているが下着はつけていないし、身も心も満たされた気だるさがすんだ行為を物語っていた。 「あ、起きた。お茶でも飲む?」  シャワーを浴びた後らしく、Tシャツにジャージ姿の三品がグラスを持って近づいてきた。動いた瞬間グラスから微かに香ったのはアルコールの匂いだった。 「は、い。あの、それ。」 「お家には僕の介抱してもらったって電話しておいたから。」 「その、グラス。」 「ご飯食べる?」 「それ!お酒でしょう、先生!」  立ち上がってグラスを取り上げようとする手をさらりと躱して目を細めて微笑んだ。 「こらっ、大人しくハウス!僕ねぇ、ざる、いや枠なの。赤くなるけどこんなんじゃぜぇんぜん酔わないから大丈夫。」  その言葉が嘘か本当かわからないが、さっさとキッチンに歩いて行く三品の足取りは店で見たのと同じく危なげなかった。 「ああああああああ、卒業したらと思ってたのに……」  一人ベットに残されて呟く亨は主人が戻ってくるの大人しくまっていた。  聞きたいことは山のようにあるのに、何も教えてもらえるとは到底思えないのは気のせいではないだろう。  キッチンから聞こえる能天気な鼻歌を聴きながら、とりあえず三品がネコでよかったと亨は神様に感謝した。

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