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第149話

荒い呼吸を整える間、清藤を抱きしめ肩先に何度もキスをした。 首元にしがみついた清藤はその度、甘い吐息をもらしピクピクと身体を揺らしている。 頂点を目指し欲望を解き放った後、身体中が敏感になっているのだろう。 そんな清藤が可愛くて愛おしくキスをばら撒いてしまう。 そっと離れた清藤の体温がいやに寂しく見つめてくれる瞳を探す。 間近にある薄茶の瞳と視線が絡まればドクンと脈が打つのがわかった。 右に揺らりと倒れた瞬間、柔らかい感触が唇に触れた。 そっと離れたその先を目で追いながらまた瞳を探す。 「膝、痛くない?」 冷静になってきた思考は浴室の床に付いた清藤の膝が気になった。 「大丈夫。元希の痛みに比べればなんてことないよ……人に抜いて貰うのって……気持ちいいもんだな」 彼女がいた過去がある清藤の口からそんな言葉が零れた。 初めて知ったかのような科白に、清藤の過去が少し見え隠れする。 だが、真田はあえて聞くことはしなかった。 「そうだね。俺は気持ちよくなってる友さんを見てるだけで満足だけどね」 「変態だな……」 「まあ、そうかも。やっぱり好きな人の善がる姿は堪らないよ。だからもっともっと気持ちよくしてあげたいって思う」 「……じゃぁ、俺も変態か」 ふふっと笑った清藤の蕩けそうな綺麗な笑みにまた引き寄せられ唇を重ねた。 「喉乾いたな……上がろう、元希」 二人の間に纒わり付いたモノを洗い流した清藤は、真田の手を取った。 「友さんにお世話してもらえるなら怪我してみるのもいいかも」 不謹慎な科白に、清藤の反応を見てみたくなった。 「いつだってお前の世話をやきたいよ。出来れば怪我や病気じゃないのがいいけど」 深刻な顔を覗かせれば、謝る覚悟で聞いた返事は、深刻なものではなかった。 少し心は軽くなっただろうか。 自分の存在をリアルに感じてくれただろうか。 そんな真田の不安はバスタオルを広げて微笑む清藤の笑みで少し軽くなった。

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