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第74話 満願成就*
「これでついに、あの呪いから解放されたな」
宗輔が、結太の頬を両手ではさみながら、しみじみ嬉しそうに呟く。
「はい。百日間、宗輔さんにはご迷惑をおかけしました。無事に終えられて本当によかったです」
ふたりは結太のベッドの上で向きあって座っていた。
時刻は午後十一時すぎ。宗輔はもう、変身していなかった。
「この三か月は振り回されっぱなしだったけど、可愛くて世話好きなヨメを手に入れることができたのだから、結果的には、あの木像には感謝だな」
「ヨメですか」
「家事育児何でもできる最高のヨメだ」
「褒められてるはずなのに何か複雑です」
「夜の勤めも最高だし」
そうして腰に手を回してくる。
「……ぁ、宗輔さん、傷に障りますから」
結太はくすぐったさに身をよじった。
「痛みどめを飲んでいるから大丈夫だ。それよりも、さっきからお前に触りたくて、そっちのほうがずっとつらい」
「そ、そんな」
宗輔がパジャマの下に手を差し入れて、肌をやわやわともんでくる。結太は肉づきが薄いため、皮膚の下はすぐに骨だ。そんな丸みのない身体なのに、宗輔は楽しくてしょうがないというように、いつもあちこちなでで、もんで触れたがる。
「もう熱くなってきてる」
大きな手のひらを胸まであげて、小さな粒を探りあてると、それをキュッとつまんだ。
「――あっ」
結太はビクリと跳ねて宗輔にしがみついた。宗輔が笑いながら結太の髪に口づける。
「反応がいちいち可愛いんだよ。結太は」
「……は、ぁ。そ……それは、宗輔さんの手が、意地悪いから」
「そうか? ほんのちょっと動かしてるだけだぞ?」
「あ、……んっ、う、うそば、っかり」
宗輔の手のひらは大きく円を描くようにして、結太の胸や脇を優しく這い回った。触れられた場所から皮膚がふつふつと粟立っていく。
「あ、も、やだやだ」
結太は背を丸めて、全身をヒクつかせた。自然と腰が持ちあがり揺れてしまう。
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