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第79話 そして新たな日々が始まる

 翌朝、日の光が注ぐ寝室で、結太はとろとろと目を覚ました。  カーテンはあけ放たれているらしく、部屋の中は明るかった。ベッド脇のチェストの上に、きれいに血を拭われた木像がおいてある。朝日を受けて、像はまた何の変哲もない民芸品に戻ったような様子を見せていた。  昨夜、ふたりはあの後、木像を前にして術のかけ直しを行った。大泉によれば、それをしないと再び発動した霊力がさまよって、どこかで悪さをしてしまうからだそうだ。  『何を願いましょうか』とたずねた結太に、宗輔は微笑んで『願いはひとつだけだろ』と言った。  そうして、声を揃えて『これからもずっと、ふたり一緒にいられますように』と願かけをしたのだった。  横を見れば、宗輔が肘枕をして結太の目覚めを見守っている。どうやら先に起きていたらしい。 「……あ、宗輔さん」  瞬きしつつ、「おはようございます」と朝の挨拶をする。  宗輔はひどく嬉しそうな顔で、結太に挨拶を返してきた。 「おはよう。いい朝だな」  その満面の笑みは、恋人と一夜をすごした甘々なものとは少し違い、何だか一癖ありそうな怪しげな笑顔だった。 「……」  結太は不思議に思いつつ、横向きに寝返ろうとして、ふと下半身に違和感を覚えた。 「ん?」  股の間が、シャカシャカしている。 「え?」

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