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第80話 最終話

下着とは違う、乾いたかさばる感触に、上がけをめくって自分の下半身を調べた。 「え? ぇは?」  目を剥いて股間を見つめる。そこにはなぜか破れかけの紙オムツがあった。 「ええ? こ、これ。な、何ですか?」  驚く結太に、宗輔はニヤニヤと笑ってみせた。 「お前、昨日の夜、あの後どうなったか記憶はあるか?」 「……ええ? まさか。……ないですけど。……え? 冗談、ですよね?」 「昨夜、術のかけ直しをしただろ。あれで、百日間の魂の浄化が、今度こそお前のほうに移ったらしいな」 「嘘」 「嘘かどうかは、動画を見ればわかる。ちゃんと証拠に撮ってあるぞ」  宗輔が枕元においてあったスマホを手にする。電源を入れると、赤ん坊のか弱い泣き声が聞こえてきた。 「これお前」 「……まじで」 「今日から百日間、俺がお前を育てることになりそうだな。俺もついに育メンデビューか」  悪い笑顔になって、結太を見てくる。 「……」  せっかく呪いが解けて、平穏な毎日が戻ってきたと喜んでいたのに。またこれから百日間、振り回されなければならないのか。  結太はかるい目眩を覚えた。  呆然としていると、手を引かれて、広い胸の中に取りこまれる。 「ちゃんと扱い方を教えておけよ。アレの取りかえ方も、しっかりな」  ものすごく楽しみな顔で囁かれた。  結太の頭の中が、これから仕事はどうなるのか、経験のない宗輔が果たしてまともに育児ができるのかと、グルグルあれこれ混乱する。  そんな魂が抜けたようになっている結太に、けれど、宗輔は嬉しそうに、明るいキスをしてきたのだった。                     おわり

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