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一色-hitoiro-2

次の日から俺は、時間の許す限り朱斗さんに連絡してアピールした。 空いている日は無いか、仕事が終われば会いに行っていいか、本気で好きです……等々、誘えるだけ誘い気持ちも伝えた。 けれど、返答は全てNO。あの日から撮影の日まで、俺と朱斗さんは会う事は無かった。 __________ 「ふーんふんふんっ♪」 「瀬羅くん、昨日から機嫌が随分良さげですね。」 「えぇー、分かるー?分かっちゃう?」 なんてったって今日は朱斗さんに撮ってもらう初めての撮影日。かつ、朱斗さんに会える……‼ やっと、やっと会えるんだ…‼ 嬉しすぎて前の日からニヤニヤが止まらなかった俺は、マネージャーにニヤつきすぎですよ。と注意された。 「あぁ、まだかなー。朱斗さん。」 スタイリングも終え、撮影スタジオへ向かった。今日は朝から一日掛けて、スタジオ、ロケ、といろんなシチュエーションで撮影するらしい。 ほぼ一日朱斗さんに撮られるなんて、ニヤニヤを抑えれるかなぁ。 「おはようございまーす。今日はお願いします。」 そんなことを考えてると朱斗さんがスタジオに来た。 ドクン…… 一気に鼓動が早く波打つ。 朱斗さんだ……。会いたかった…。 「おはようございます!今日は一日お願いします…!」 俺は全力の笑顔で朱斗さんに挨拶した。すると目が合った途端、彼はなぜだか恥ずかしそうにしてすぐ逸らし、よろしく。と軽く返事するだけだった。 なんか、朱斗さん照れてる……?? 「はい、撮影始めまーす。」 スタッフさんの声ががかり撮影はスタートした。

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