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旋回-senkai-2
「なんか俺、途中から二人だけの空間にいる気分になって、すごく、すごく……幸せでした。」
彼はどこか寂しげに俺にそう伝えた。
「また寂しそうな顔してる……。」
彼女と別れて未練でもあるとかそんな感じだろうと思っていた。
「そうですか?なにも寂しくなんかないですよ!朱斗さんと居るのに!」
寂しさを隠すようにニコニコと笑った。
「そっか…。」
力になろうにも隠されるとどうにも出来ないか。とそれ以上は聞かなかった。
「朱斗さん…好きです。本気で。今日初めて一緒に仕事して思いました。あんな幸せな気持ちで撮影した事なくて、ずっとこの時間が続けばな…って。写真もすごく素敵で、もっと早く貴方に出会いたかった…。」
じっと俺を見つめて彼は言う。
嬉しい言葉だった。カメラマンにとって、相手にそんな事を思ってもらえるなんて幸せだ。
「ありがとう。そう思ってもらって嬉しい。」
目が合うと、彼は俺に近づき顔がだんだん近くなる。気づけば唇と唇が重なっていた…。
ちゅ……
キスをしてる。と、冷静に思った。
抵抗もなく、素直に相手を受け入れている自分に驚いた。
ちゅ……ちゅ…ちゅ…
何度も唇を離しては、まだ離れたくないと訴える様にまた重ねる。
求められてる。彼が俺を求めているんだ。
自然と腕が伸び、お互いに抱きしめ合っていた。
彼は俺を包み込む様に…。
俺は彼の気持ちに応える様に…。
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