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負荷-huka-3

「着きましたー!」 車に乗せてもらい、会場まで連れて行ってもらい、時計を見ると、もう開始まで5分も無かった。 「ごめんっ…ありがとう!」 慌てて車から降りようと扉に手を掛ける。 「あっ!須藤さん!待ってください!」 「ん…??」 運転席の方を見るとアシスタントの彼が手を差し伸べる。 「チケット無いと入れないので、これ僕のなんですけどお譲りします。」 その手の中にはファッションショーのチケットが一枚あった。 「ほんとに、いいんですか?」 わざわざ車で会場まで送ってもらって、更にチケットまで貰ってしまい申し訳ない気持ちになる。 「いいんですよ!ほら、早く行ってきてください!」 チケットを受け取り、俺は車から出て早足で会場の入り口まで向かった。 「はぁ…はぁ…。」 入り口の警備員さんが俺がカメラマンをしている事を知っていて、運良く関係者の集まる場所へ案内された。 ランウェイはバッチリ見えて、モデルの全身をしっかり撮影できる場所だ。 「あれ…?須藤さんじゃないですか…?」 席についてカメラの用意をしていると、隣から話し掛けられた。その声の方向を向くと、彼のマネージャーである成田さんの姿があった。 「あっ、成田さん…。」 フッ… 急に視界が真っ暗になる。 「「キャーッ!!!!」」 こんばんは。と成田さんへ向けて挨拶した声は、場内の大きな歓声にかき消された。 ファッションショーの始まりだった。

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