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葵斗-aoto-2

高校を卒業した後、すぐに家を出た。 葵斗は最後まで見送ってくれて、何処までも兄さん想いだな。と嬉しく思ったのを覚えている。 その後、家族との連絡は唯一葵斗だけしていた。 たまに電話をしてきては、実家に居た時の様に弟からの相談事や談笑を聞いては、アドバイスをして終わっていた。 俺が樹矢と付き合い始めて少し経った頃、葵斗から夜遅くに着信があった。 「ねぇ、兄さん。僕もこの家を出る事にしたんだ。」 それは突然だった。 何時もみたいに相談でもあるのかと電話をしていると、葵斗は真っ直ぐ揺るぎない決断をした声で俺に告げた。 「そうなんだ。葵斗が決めた事ならいいんじゃない?」 「兄さんなら否定せずにそう言ってくれると思ったよ。」 嬉しそうに笑いながら話す葵斗は、これからの未来にワクワクしている様子だった。 「俺みたいに高校卒業したら出るんだろ?何かしたい事でも見つかったの?」 「うん。大切な人が見つかった。その人の為に俺は生きる。その人の為にしたい事があるの。」 「大切な人…か。」 ふと樹矢の笑顔を思い出す。 「兄さんも最近出来たでしょ?大切な人。」 「っな、何で知ってんだよ!」 樹矢の事は何も話していないはずなのに…。 「やっぱりー。」 ふふふっ。と嬉しそうに笑う。 きっと何かを察していたんだろう。 「とりあえず、そういう事だから。また機会がある時に恋人さん紹介してね?兄さん。」 そう言い残して、プッ。と電話が切れた。 葵斗にとって大切な人か…。 真っ暗なスマホの画面を見つめて、どんな人だろう。と考えながら眠りについた。

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