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葵斗-aoto-1
「そういえば、しゆちゃんの弟君ってさ、今どうしてるの?」
「んー?あいつは今ね…。」
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俺には、年齢が2つ違いの弟がいる。
小さい頃は何かと俺の行く所行く所に着いて来て、二人で遊んで過ごしていた気がする。
段々と成長と共に、遊ぶ相手も遊び方もお互いに変わってきて、俺は幼馴染の鶫と頻繁に遊ぶようになっていった。
背格好もよく似ていて、たまに一緒に出かけると双子に間違われることもしばしばあったな…。
顔の作りは、俺は父さんに似ていて、葵斗は母さんに似ていた。特徴は笑った時のえくぼかな。
「兄さん、兄さん。」
何かある度に俺を呼んでは、相談してくる奴だった。
例えば進学先、学校での友達関係、好きな人の話…。色んな内容で兄さんである俺に聞いてきては嬉しそうにアドバイスを受け取っていた。
今までに兄弟喧嘩なんてした事無くて、とても平和に遊んでいたかな。
自分の好きな道に進むと決断した高校の頃、俺は家族で唯一、葵斗に話をしていた。
フリーのカメラマンとして自分の道を進む。
他の誰にも邪魔されたくない。
自分自身の為に、生きていく。
だから、家を出る。
話を終えた後に言った葵斗の一言は、「兄さんらしいね。」だった。
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