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掴まれた手。
後ろから、松木君の声が聞こえる。
「わ!1年の松木君!?イケメンばっかりじゃん!愛美嬉しい!!」
圭人の隣で彼女が嬉しそうに声を上げた。
「太一郎!!」
そして、焦ったような怒気を含んだ武藤萌乃ちゃんの声もした。
その声に体が無意識に震える。
「...悪い、愛美。また連絡するわ」
「え?...えぇー?2人ともどこ行くのぉ?」
いきなり、圭人に腕を掴まれて半ば引きずられるように歩き出す。
「ちょっ、圭人?」
「先輩!!」
歩き出した俺の、圭人に掴まれていない方の手を松木君が掴んだ。
「わっ!?...松木君」
「先輩」
松木君と目が合う。哀しそうな、今にも泣きそうな顔をしている。
「もぅ!太一郎っ!!」
松木君の後ろから武藤萌乃ちゃんが現れて、松木君の腕を掴んだ。俺を睨んだまま。その視線に耐えれなくて俯いた。
「...手。離せよ」
圭人の低い声。威嚇するような。
「嫌です!...尾関先輩こそ、離して下さい」
瞬間、俺の手を握る松木君の力が強くなった。
「太一郎!!」
武藤萌乃ちゃんのキンキンとした声が辺りに響く。
「行こうよ?先輩たち 話があるみたいだし、あたし達邪魔だよ?」
武藤萌乃ちゃんの言葉に、圭人の顔が意地悪に歪んで笑う。
「ほら。言われてんぞ。早く向こう行って仲良しごっこしてこいよ」
バカにした言い方にさすがに眉間に皺が寄ってしまう。
「...圭人!」
「...ちっ」
拗ねた子供のように俺から目を逸らす圭人の
俺の腕を掴んでいる腕を掴む。
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