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呪いじゃないらしいです。
「見た?虹太兄ちゃんと須田さん。あたし興奮しちゃった」
ざわめきと埃っぽさと興奮を残しつつ、お昼ご飯タイムになって皆それぞれ好きな場所に移動してのご飯だ。
「怖いよ、あの人!分かってたけど、怖いよ!でも、俺は負けないから!!」
変な宣言をして、山根は凛からお弁当を受け取る。凛はどちらがMVPを取ってもプリンは貰えるのでのほほんとしているけど。
「うんうん。絶対謙ちゃんがMVPだよね」
プリン忘れないでね、と念を押しているけど。
1番怖いのは、実は凛なのかもしれない。可愛いし、そんな凛も嫌いじゃないから良いけど。
「しっかし、須田さんもノリノリだもんなー。あの二人が揃うとほんと強い!」
確かに、さっきの寸劇?も面白かったけど、虹太兄ちゃんも須田さんも顔も運動神経も良いから目立つ目立つ。周りの女子の瞳がハートになっていた。
「まぁ、面白かったしいいじゃん。怪我も大したこと無かったみたいだし、転んだのもワザとじゃないしさ」
「それ、山根の呪いだよ」
「ばっ...!」
「え?何?呪いって。怖いんだけど」
米粒飛ばして、山根がこっちを睨んでくる。
凛は怖い、なんて言いながら瞳をキラキラさせてこっち見てくるのでチクってやった。俺は凛に弱い。
「えー?謙ちゃんそんな呪いかけちゃったのー?もー、大人気ない!」
「てめぇ、優羽!」
「まさか、本当に転ぶとは思わなかったけどさ」
「俺だってそうだよ!」
山根は面白くなさそうに弁当をすごい勢いで食べ始めてすぐにむせ、まぁまぁ、なんて凛に言われながらお茶を渡されお世話されている。
「ますます負けたくない!午後からの競技って何だっけ?」
「午後イチは障害物リレーだよ」
「あ、俺 出ないや」
障害物リレーって、松木君が出る競技だ。
堂々と見れるチャンスに気持ちが浮きだって来る。
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