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I fall in love:落としてみせる!⑪

*** 「やっと寝たか……」  規則的に聞こえてきた寝息に、ほっと胸をなで下ろす。何かに集中していないと、水野に手を出してしまいそうな自分がいた。 「本人無自覚で、俺を誘ってくるからなぁ」  そこんトコが始末に負えない。ガキな俺は時々、どうしていいか分からなくなる。  伸びをしながらゆっくり立ち上がり、棚に置かれた物を手に取った。  ドラマでよく見る警察手帳に、免許証。今よりもあどけない、水野の写真が笑える。  隣に置かれたメモ帳をパラパラ捲ると、事件の概要が細かく書いてあった。その詳細な内容が、水野の性格を表している。  ――ドジらないように、しっかりメモをとってるんだろう。  音を立てて捲った、メモ帳の最後のページに何かが挟まれていて、ふっと手が止まった。 「写真……?」    二枚挟まれていた内の一枚は、なぜか俺だった。 (いつの間に撮ったんだよ。お前は俺のストーカーか!?)  内心苦笑いしてから、二枚目の写真を手に取る。それを見た途端に息を飲み、固まってしまった。  どこかの居酒屋で、撮られたものだろう。テーブルには、ビールやおつまみが並んでいる。水野がふてくされた様子で、隣にいるヤツを睨んでいた。睨んでるクセに、口元は緩んでいて――睨まれているソイツは、してやったりな顔をして水野を見ている。  俳優並みに整った顔立ち……  テーブルに置かれた水野の手の上に、しっかりとソイツは指を絡ませていて、仲の良さが明らかだった。 「……もしかしてこれが、山上なのか――」  コイツの目つきと俺の目つきの、どこが似てるんだって言うんだよ。  振り返って、寝ている水野をキッと睨んだ。  幸せそうな顔をして、ぐっすりと眠る水野。人のことを嘘つき呼ばわりして、自分だってしっかり嘘をついてんじゃねぇか。  イライラしながら、もう一度写真を見る。  仲の良さそうなふたりが別れることになろうとは、このとき思っていなかっただろうな。    幸せそうに見えるふたりの写真を見て、シクシクと胸が痛くなり、自分の写真を重ねてから、さっさと元に戻した。 「俺の隠し撮りの写真、比べたくないけど……すっげぇ幼く見える」  山上とは一回り以上年齢が違うだろうから、それは当然のことだろう。それでも俺は負けたくなかった。 「まずは身長、デカくしないとな。体全体も今より、大きくしたい!」  水野のすべてを包み込むような、優しい眼差しをした山上。お前には、絶対に負けない! 俺だって、水野が好きなんだ。  決意も新たに、急いで元の場所に戻り、参考書と向き合った。 「しっかり勉強して、警察官になるトコから始めないと……ドジな水野をこの手で守らないといけないから」  学生生活をして、これまでこんなに必死になって、勉強したことがあっただろうか。目標を持つと、先がしっかりと見える。  だから頑張れた。大好きな水野のために――  そして…… *** 【貴方が残してくれたもの】番外編―熱想―に写真のお話が掲載しております。お時間があれば、是非一読してみてくださいね。

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