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エピローグ
午前零時____
店の片付けを終え、戸締まりの確認をして歩いて十分の自宅に向かった。
「寒っ!……うわぁ!」
なにかに躓き、辺りを見るとゴミ置き場から人の足が出ていた。疲れと眠気が一気に吹っ飛んだ。俺は恐る恐るゴミ袋を退けて中を覗いた。フードを被った男の顔が見えて咄嗟に顔や首を触って生死を確かめた。
生きてる……
「おっお兄さん、こんな所で寝てたら死んじゃうよ」
倒れていた男の体を譲ったり、顔を叩いたりしたが目を覚まさない。
仕方ない連れて帰るしかないか……
俺は男を背負って立ち上がった。
「……あったかい」
背後からそう聞こえた。
「仕方ないな……」
どうせ一時のこと。明日になったらこの男はいないだろうし。
「寒いな……」
冷え込んだ今日は雪が降るかもしれない。俺の気まぐれ……単なる気まぐれだった。
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