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最終回
何度か美波と出掛けるうちに、俺達はだいぶ打ち解けてお互いを名前で呼ぶ様になった。
しかし美波と出掛けた日の夜は必ず“湊”だった頃の映像を見せられながら男とセックスをさせられるので、学校で会う時も複雑な気分だった。
周囲からも俺達が友人同士だと認識され始めた頃。
「家の飾り付けもできたし、そろそろ湊くんをお迎えに行ってあげようか」
男が俺に中出しを終えて余韻を楽しむ様にゆるゆると抜き差しをする。
俺の顔を覗き込んでにこにことしている男を見て、遂にこの時が来てしまったのかと快楽に染まった頭でぼんやりと思う。
実行の日は特に何かの記念日とか思い入れのある日なんて事はない。
ただただ平凡な日常の1日だった。
「美波じゃあな~」
「うん!己咲もまた明日ね」
美波の前では明るく振る舞って居たが、手を振って別れた後は自分でもスッと表情が抜け落ちていくのを感じる。
男に今美波と別れた事をメッセージで送り、俺は足早に美波の家へと向かう。
家の前に着いた事を連絡すると、家の中からは男が出てきた。
「湊くんは今買い物に行って貰ってるから、先に中で待ってよう」
俺に花柄のカバーの携帯電話を掲げる男に促され美波の家の中へ入り、ドアに鍵をかけ自分と男の靴を持って中に入る。
家の中は綺麗に物が整頓され男の家みたいにゴミが散乱しているということもない。
リビングダイニングでは料理をしていた痕跡があり、テレビまでついていた。
男がどかりとテレビの前のソファーに座る。
「湊くんのお母さんはちゃんと隣の部屋に寝かせてあるんだよ。ちゃんと生きてるのおじさん偉くない?」
男が机の上のお菓子を勝手に食べている。
ニヤニヤとチョコレートを口に含んで隣の部屋へ目線をやった。
俺は男の目線誘導に釣られてそちらに目を向ける。
リビングに続く小さな和室に年配の女性が倒れているので足早にそちらに近付いた。
口許に耳を寄せると呼吸音が聞こえる。
ほっと息をつくと、男がテレビを消して立ち上がり、部屋の電気を消してからこちらにやってきた。
どうしたのかと戸惑っていると男がまだニヤニヤといたずらをする子供の様に笑いながら口に人差し指を当てる。
俺が息を潜めて居ると、ガチャガチャと玄関の方から音が聞こえてきた。
「ただいま~!!」
玄関から美波の声が聞こえてきた。
軽い足音で色々な部屋を覗いているのか扉を開け閉めしている音がどんどんこちらに近付いてくる。
「あれ?母さん?いないのー?」
遂に俺達が居る部屋の扉が開いた。
部屋の中が明るくなり、パタパタという足音と共に美波の後ろ姿が見える。
男が珍しく足音を立てないように美波の背後に近付くと近くにあったエアコンのリモコンを大きく振り上げた。
そのまま勢い良く振り下ろすと美波の頭に当たり鈍い音がする。
「ごめん…な」
「み…さ?」
美波が倒れる瞬間、俺は目をつぶって顔を反らす。
倒れた美波につい謝罪の言葉が漏れてしまった。
俺の声に反応して言葉を紡ごうとした様だが、直ぐに意識を手放す。
倒れた美波を肩に担いで男が部屋から出ていく。
俺は男の後を追って玄関に向かい、手に持っていた靴を玄関ポーチに置いた。
「掃除は業者に任せてあるから、ここはこのままにして湊くんをおうちに連れて帰ったら一緒に遊ぼうね」
「え…」
「湊くんに現実を分からせる為に、己咲にも少し演技して貰わなきゃいけないかなぁ?」
「演技…ですか?」
「そう!昔みたいに嫌々って言ってる演技!おじさん我慢できるかなぁ」
正にウキウキといった様子で男が美波を車に乗せる。
当然目を覚ました美波は男によって散々犯され、俺が学校に行っている間に男と一旦家に戻り荷物を持って家出をするという手紙も置いて来たらしい。
正式にうちに来た美波は本来の名前である湊に戻った。
「湊…ここから逃げたくない?」
「え…」
男が寝ている間に、俺は湊に悪魔の言葉を囁く。
男は湊を家に連れてきてから俺を抱く頻度が少なくなった。
最初の頃は身体が疼いて仕方がなかったが、その欲を自由になった分部活に打ち込んだ。
身体への負担が減ったお陰でタイムもあがり、成績会なんて物にあとちょっとで出られる位になった。
湊のお陰で勉強も部活も上手く行くようになると学校生活がどんどん楽しくなっていく。
気が付けば進学もスムーズに終わり、もう最終学年になっていた。
俺を犯して脅していた男達は利用するだけ利用してから男の母親の差し金だったので少しづつ社会的に追い込み、男の母親も秘密裏に追い込んでいってやった。
つい最近心労で倒れたらしいと聞いたので、もう先も長くないだろう。
男も湊とセックス三昧で元からだが、ろくに仕事もしていなかったので仕事も俺が代わりにしていた。
男が次期社長になれば、男はお飾りにして一部だけ残して俺はじわじわ会社を内部から腐らせていこうと考えている。
心の中では湊に罪悪感がありこれが最後の救済だっ。
「高校の頃の保健医の先生覚えてる?お願いしたら湊を匿ってくれるって言ってくれたんだ」
「でも…」
湊は迷っていると言うより、怯えていた。
昼夜問わず、家中ところ構わず男の肉便器として性の捌け口となって男の性欲をぶつけられているのだから湊が逃げれば俺がどうなるかとでも考えているのだろう。
こんなところが優しく、一時嫉妬していた自分が恥ずかしくなるほどだ。
俺には真似できないなと感じる。
もし逃げて、それが見付かれば激しいお仕置きと言う名の虐待が待っていることだろう。
しかし、俺は湊を優しく抱きしめ背中を撫でる。
「大丈夫。ご主人様は俺がどうにかするよ」
本当はもっと湊を早く逃がしてあげる事もできたのかもしれない。
でも、俺は本当の自由を知ってしまった。
家の中で服を着ててもいい。
排泄シーンを見られない様に扉を閉めてトイレができる。
全ての食事を自分で咀嚼して食べてもいい。
男のせいでこんな些細な事さえ叶わなかったのだ。
湊には俺のわがままでここまで引き留めてしまったので、せめて信頼できる人に託したかった。
吉高先生は利己的な所があるが、今は色々あってメンタル的にも参っているらしい。
そんな“優しい”吉高先生なら“可哀想な”湊をちゃんと面倒見てくれるだろう。
と、ここまでが俺の昔の思い出。
それから男とどうしてるかというと、社会人になった俺は“元”飼い主の男を“飼って”いる。
「ただいま。ご主人様良い子にしてた?」
「うううッ!」
「あーあ。おちんぽびんびんにして悪い子だなぁ」
俺はわざとクスクスと笑いながら男のぺニスを指先で弾いた。
その刺激で絶頂したのか、だらしなく精液が飛び散る。
男は俺の思惑通り病気が進行して足を切断しなければらなくなった。
それを医者から聞いた時の俺は泣くふりをして俯いて喜びに震えた。
やっとだ。
湊を逃がした後は一時的に軟禁状態で男の相手をするのが大変だったが、やっとこの時が来たんだと笑いを堪えるのに必死だった。
足を切断してから俺は男を甲斐甲斐しくお世話してやった。
身体を拭いてやり、食事をさせて薬を飲ませる。
病気のせいで減退した性欲もバイアグラや興奮剤をわざわざ使って発散させてやている。
毎日毎日飽きもせず何年も俺や湊を抱いていたのだから性欲も溜まるだろうという配慮だ。
「ほら。昔は猿みたいに毎日俺や湊に腰振ってたんだからこれくらいでバテるはずないよね?」
「あぅ!あー」
「薬使ってるのに固さが足りないよ?俺に使った怪しいドラッグじゃなくてちゃんと処方してもらったやつだからほら気持ち良くなってよ」
男の勃起したペニスをパンッと叩いてからコンドームを着けて、男の上に乗って腰を揺らす。
胸を押さえて苦しそうにする男の胸に、俺は手を当てて心臓を刺激するように強く押した。
バイアグラや興奮剤は心臓に凄く負荷がかかるのだが、俺は気にせず自分が気持ちいいように動く。
コンドーム越しに男が絶頂したのを感じ、ゆっくりと男のペニスを引き抜いた。
使用済みのコンドームは男の顔に投げつけ、もう一度ペニスにコンドームを被せて再び上に跨がる。
正に男が俺にずっと強いてきた自分本意のセックスだ。
「ふふふ。ご主人様お外の空気気持ちいいですか?」
「あ~」
車椅子にを押して少し離れた公園まで散歩に出てきた俺達は木陰で周りの様子を見ている。
しかし、車椅子に乗せた男は言葉も話せず俯いていた。
顎に手を添えて上を向かせてやり、数人のグループを見せてやる。
そのグループの中には談笑する吉高先生やぎこちない表情ながら明らかに年下の子にお世話を焼かれている湊の姿があった。
男にこの光景を見せる為に吉高先生にお願いして湊を連れ出して来てもらったのだがそれにしても連れの人数が多い。
ピクニックみたいになっている光景が微笑ましくて、そんな光景に俺はため息がもれた。
少しずつ認知能力が落ちてきた男にはこの光景が理解できないだろう。
「大丈夫。ご主人様にはうーんと苦しんでから死んでもらいたいので、まだまだ生きてて貰わないと困るんですよね」
「う~」
「病院で食事に気を付けましょうって言われてるので、最近は食事は3日に1回に減らしたのに体重減りませんね?もっと間が空いてる方がいいですか?」
俺は男の耳元で楽しげに話す。
吉高先生は現在大きな病院で院長秘書をしている。
男もその病院に通わせてもらっているので合法的に興奮剤やバイアグラを処方してもらっているのだ。
医師の監修のもと男を死なないギリギリのところで留めていられる。
そもそも食事を抜くのだって男が良く子供達にやっていた事だ。
食事を抜いたからって陵辱は止めなかった。
俺は、食事を抜かれ飢餓感とそれでも無慈悲に行われる陵辱に苦しむのを追体験をさせているだけだ。
食事をやるときも床に置いた皿で食べさせてやっているが、流石に口移しで食事をやる気にはならなかったのでそれはやっていない。
因果応報。
自己満足に過ぎなくても、俺はされてきた全てを男にやり返すまでは男に生きていて欲しい。
だから今日も甲斐甲斐しく男の世話をするのだ。
「さぁご主人様…。おうちに帰ってたぁくさん遊びましょうね?」
“遊ぶ”というワードがトリガーになっているのか、聞いただけで首を横に振ってうーうーと唸りながら嫌がりはじめる。
しかしリハビリもろくにしていないので足をバタつかせる事もできない男の抵抗などかわいいものだ。
車椅子を押して俺は進みはじめる。
随分軽くなったなと思いながら車椅子を押していると、一瞬後ろから呼ばれた気がして振り返った。
「だいじょうぶ」
俺は一言呟いて男の方へ向き直り、再び車椅子を押しはじめたのだった。
End
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