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第60話
「亜樹、冷たいなぁ〜。何故、逃げようとしてるのかな?」
「あー」
「可愛いね。良い子だからほらっ、俺と話そう亜樹」
身体が強張り逃げることも声を出して抵抗することも出来ないでいる。
そうして固まっていると先輩は僕の腕を掴むと僕を引っ張るように歩き出した。
逃げなきゃ!
でも身体が言う事を聞かない。
お願いだからこの人から僕を開放してください。
誠也・・助けて!
「以前は俺しか見てなかったのに何アイツ?」
「イッ・・た」
「ごめんごめん、ちょっとイラってして力入れすぎたね」
ちょっと?
かなりの力で僕の腕を握りさっきよりも歩く速度が上がっている。
それにアイツって?
嫌な感じがするけれど先輩には付き合ってる事を話してないしバレてはないとは思うけれど胸騒ぎがする。
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