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第66話
「あの、僕に話があるんですか?」
早くこの場から去りたくて僕は弱気になってはダメだと先輩に用件を聞こうとした。
「可愛くなったな亜樹」
「なっ!」
先輩は優しく笑いかけながら僕の頬に触れてきた。
こんな優しく触れられた事なんてもう忘れている。
初めて会った時は確かに優しくされていたかもしれないが日々を過ごす中で当たりはキツくなり出した。
「ふざけないで下さい。僕は早く帰りたいんです。用がないなら帰ります」
「本当に可愛くなったよ亜樹。啼かせたくなる」
「他の子にしてください。僕にはもう好きな人が居ます!」
好きな人がいるんだ。
誠也!
こんな所で僕は何をしているんだよ。
僕は誠也の事が好きでもう誠也以外考えられないんだ。
恐怖からここに来てしまったがやはりハッキリと言わないとダメだ。
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