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朝倉編2

「双子……か」 蜂巣と呼ばれる座敷に通された朝倉は、敷き布団の上に並んで座る二人の男娼をまじまじと見つめた。 着ている着物の色や柄は違うが、顔の作りは全く一緒で見分けがつかないほどだ。 しかも、二人とも男だというわりに恐ろしく整った顔をしていた。 寧ろそこら辺の女より綺麗な見た目をしている。 「朝倉様、ですよね。はじめまして。俺は(いちご)、こっちが菖蒲(あやめ)です」 苺と名乗った一人が勝ち気そうな瞳を細めて淑やかにお辞儀をする。 一方菖蒲と呼ばれたもう一人は、既に発情したような潤んだ瞳で朝倉を見上げていた。 その様子に気づいた苺が慌てて菖蒲を小突く。 「おい菖蒲、ちゃんと挨拶しろよ」 「だって菖蒲、朝倉様みたいな男の人凄くタイプで…」 まるで語尾にハートマークでもついてそうな菖蒲の甘い口説き文句に朝倉は苦笑いを浮かべた。 男娼という職業柄こういう台詞で客を悦ばせるのが彼らのやり口なのだろう。 本気にするわけではないが、まぁ悪い気はしない。 朝倉は鷹揚な手つきでジャケットを脱ぐと菖蒲を引き寄せた。 「ありがとう。だけど、俺の身体を見てもまだそんな事が言えるかな?」 脅迫じみた言葉と引き締まった朝倉の男らしい顔を前に、菖蒲の瞳がますます蕩けていく。 「確かめてみても…いいですか?」 菖蒲はそう言うと、朝倉の身体に触れてきた。 その手は鍛えられた筋肉を確かめるように、ゆっくり下腹部へ降下していく。 一方、朝倉の目ははだけた襟口から覗く菖蒲の肌に目を奪われていた。 何て美しいんだ。 同じ男とは到底思えないほど肌のきめ細かさや色の白さに、欲情が刺激される。 「俺も触っていいですか?」 反対側からするりと潜り込んできた苺が舌舐めずりをしながら朝倉のベルトに手をかけてきた。 濡れた唇からチロチロと覗く真っ赤な舌にも釘付けになる。 あの舌を思いきり吸って蹂躙してみたい。 同じ男に勃つか自信はなかったが、想像以上に妖艶で積極的な双子を前に朝倉の股間が徐々に反応を示していく。 双子は朝倉のベルトを外してしまうと、下着ごと一気に引摺り下ろした。 その拍子に半勃ちになっていた二本の陰茎がぶるんと勢いよく外に飛び出す。 「「わっ!?」」 二人はまるで示し合わせたかのように同じ表情と言葉で驚きをあらわにした。 今まで色んな男のものを目にしてきた彼らでさえも二本持ちのこの身体は初めて見たらしい。 驚嘆して言葉をなくす双子を前に、朝倉は小さくため息を吐いた。 やはり男娼でもこの身体は受け入れるのは難しいか。 そういう反応には慣れているため、今更傷つきはしない。 ただほんの少しの間、埋めようのない寂寥感が残るだけだ。 悄然とした朝倉が脱がされた服を戻そうとした時、突然苺が口を開いた。 「凄い…!」 朝倉の身体を押し倒すとよつん這いになり、重なる二本の陰茎をまじまじと見つめている。 その瞳には怯えや畏怖のようなものはなく、寧ろ恍惚とさえしていた。 「ズルい!菖蒲も」 菖蒲も同じようににじり寄ると、何の躊躇いもなく朝倉の股間に顔を寄せてきた。

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