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撮影のお仕事8

 そう安心していると、いきなり服を玲音に脱がされる。 「ちょ、へ? 何?」 「じゃないでしょー! これから、撮影するんだし、諒馬君も服脱いでおかないとじゃない?」 「あ、あーそうか……確かにそうだね。 なら、自分でやるよ。 俺は脱がされるようなタイプじゃないしね」  その諒馬の言葉に玲音はクスリとする。 「やっぱ、タチ候補だけあるよねぇ。 やる時はやるんだ!」 「まぁ、そういうこと!」  諒馬は言うと今まで履いていたズボンを脱ぎ、 「ズボンはどうしたらいいのかな?」 「普通なら鞄やリュックにしまうんだけど……いいんじゃない? ベッドの下に落としておいてもね。 場合によっては、それが演出にもなるんだろうしー。 ってか、こういう撮影っていうのは、一応はストーリーみたいなのはあるのだけど、殆どがアドリブなんだよね。 諒馬君的にはそういうの大丈夫?」 「あ、えーと……どうなんだろ? そこまでは分からないなぁ?」 「ま、セリフとかってあってないようなもんだけどねー。 だって、ヤり始めちゃったら、もう、そこは自分達の世界だしね」 「そうなんだ」 「そうなんだよ。 ウチの社長というかウチの撮影のルールっていうのか、そういうとこは男優さん任せなんだよね」  玲音は諒馬の耳側で、 「ウチの社長って優しいでしょー! だから、アットホーム的な会社で例えば失敗しても怒られないし、そりゃ、成功したら、物凄く褒めてくれるしね。 でも、逆に失敗した時に怒られないのはプレッシャーになるのかな? そういうとこはなかなか分かってる社長さんなのかもしれないね。 でも、逆に一度失敗すると失敗は出来なくなるよね」  玲音の言っていることは確かにそうだ。 現に諒馬が先程ドアの音を鳴らしてしまった時だって怒ることはしなかったのだが、それこそプレッシャーになってしまった。 いや、もう逆に二度とやってはいけないと思ってしまった位だったのだから。

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