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撮影のお仕事9

「あ……」 「そうでしょ?」  その玲音の言葉に諒馬は頭を二回程頷かせる。 「だから、逆にあの社長さんは凄いと思うよ。 まぁ、僕等が言える立場じゃないんだけどさぁ。 社長になれれる器の人って感じかな?」 「確かにそうだよね……」  諒馬は玲音のその言葉にクスクスと笑い始める。  きっと玲音も玲音なりに初めて参加する諒馬に緊張を解してくれているのかもしれない。  そうだ。 さっきまであんなに緊張していた筈なのに今は完全に和みムードだ。 きっとドラゴン事務所の社長がこういった和みムードをスタッフ全員に出しているから、皆が皆こういうスタッフなのであろう。  社長は自ら人事も担当しているようなのだから人選もしっかりしている人ばかりにも思える。 「じゃ、とりあえずさぁ、まだ、スタッフさんが色々準備してるみたいだしー、次の話の流れについて話すね。 とりあえず、諒馬君はこういう仕事に関しては初めてだから、簡単に説明するけど、ウチの仕事はとりあえず簡単なストーリーみたいなのはあるんだけどさ、台詞はその場その場でいいんだよ。 簡単に言えば全部アドリブ。 そう諒馬君はタチの立場で問題ない訳……でもね、諒馬君は初めてこういう仕事をするんだから、まぁ、僕達に合わせてくれたらいいっていうのかな? で、最終的に京平と諒馬君とで僕のことを責めて、中に挿れてくれればいい訳さぁ」 「……へ? そうなの!? 最終的に玲音君の中に挿れるって……どういうこと!?」 「あ、あー! そうだねー僕の中に二本同時に……って言ったら分かるかな?」 「……へ? そうなの!? ……その……玲音君は二本同時に挿れても大丈夫なのかな?」  そう少し心配そうに聞く諒馬。 「心配しなくても大丈夫だよ! 僕はこの会社が出来た半年位前からこの仕事やってるからね。 もう、慣れたもんだよー! 寧ろ、今じゃ、それ位ないとつまらないっていうのか? 気持ち良くならないっていうのかな?」  そう言う玲音に安心したのか諒馬はまたクスクスとし始める。  もう玲音なんかはベテランに近いのかもしれない。 だから社長は諒馬に今日はこの仕事を任せたようだ。  本当に先程までの緊張感は何処に行ってしまったのか? こういう安心出来るようなスタッフ達で安心した。 これがさっきみたいに本当にピリピリムードだと自然に出来なかったかもしれないのだが初めての諒馬でも仕事がこなせそうだ。 「あ! で、どうする? 今日は諒馬君は初めてなんでしょ? タチとしてでも僕達に最初は責められる? それとも、僕のことを責めることが出来る?」 「そんなの当たり前じゃないかー、俺はタチなんだから、責めたいに決まってるでしょ」 「だよねー! 流石はタチの人だねぇ。 それに、社長も君の様子を見てるんだから、自分をアピールしなきゃならないしねー」 「あ……」 「そういうこと……!」

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