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撮影のお仕事4-4

「成都さんの方が年上だったし、そん時はもう成都さんの方がいっぱいいっぱいで、押されていたって言ったら分かる!?」  その言葉に玲音は少し考えているようだ。 「そういう事!? んじゃ、成都さんの方が僕みたいに結構……押せ押せタイプだったって訳ね? じゃあ、諒馬君はマグロだったの?」 「いやぁ、それも違うかなぁ? ちゃんと形勢逆転したしね」  その俺の言葉に玲音は首を傾げている。 「ん? どういう事?」 「俺だって、タチとして黙っていられなかったっていうのかな? だから、こっちからだって色々と成都さんの事攻めていったよ」  最初はコソコソと玲音にだけ聞こえるように話していたのだが気付くと堂々と俺は玲音に話をしていた。 「んー、まだ、色々と分からない所、沢山あるけど……ま、いいか……」  ……って、そこで話を止めるんかいっ! ま、おれ以上追求されても困るんだけど……。  そこで俺はまた一息吐く。 「じゃあ、みんなでお風呂に入っちゃおうか?」  そう、あっけらかんと言う玲音。  そう言う玲音だが今の俺には複雑な気持ちだ。  確かに今やってる事は仕事でっで事だけど、今はカメラマンに成都さんという恋人がいる。 それなのに他の人とやっていいのか!? と思ってしまう所だ。 そこの所だって、まだ成都さんとはきちんと話さえ出来ていないの現実だ。  ……この前の時にキチンと成都さんと話しておくべきだったな。  と今更後悔しても遅い。  俺は椅子に座って考えていたのだが、そこまで事情を知らない玲音は俺の事を呼んで来る。 「諒馬くーん! 早くー!」  とお風呂場の方から俺の事を呼んでいるのかもしれない。 だって声が響いて聞こえるのだから。  とそんな時、俺の近くに成都さんの姿があった。 そして、 「諒馬君……いいんですよ……僕の事は……」  そうボソボソと言う成都さん。 「……へ?」 「だから、僕の事は気にしないで下さいね。 僕は女々しくなんかありませんから、仕事は仕事、プライベートはプライベートで割り切ってますから」 「え?」  と俺は少し考えた後に、 「うん! 分かった!」  と成都さんに向かい笑顔で返事をするのだ。

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