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 ……ああ、ここで一旦休憩だって言ってたよね? なら少し休んでからお昼にしよう。  と思っていると京平が僕の近くに来てくれる? 「玲音、大丈夫そう?」 「え?」  僕はまだ意識がぼやぁ、としている中で京平の事を見上げる。 「あ、うん……大丈夫なのかな?」 「なら、良かった」  と言って京平は体や頭を優しく撫でてくれている。  やっぱ京平って撮影の時とプライベートの時では違うよね?  それに僕達は恋人同士なんだから、きっと京平は僕に優しくしてくれるんだよね?  その温かい手に僕は癒されているような気がする。  心の中もホッと温かくなってるのかな?  やってる時の気持ち良さではなく、心地よい気持ち良さに僕は寝そうになってきている。  ……ま、体も疲れているしね。 でも、まだ今日は撮影が残っているのだから寝てる場合ではないのかな? そう思っていると、京平が、 「十五分位寝たらいいんじゃないかな? それくらいなら休める時間あるしね。 それに、大人の昼寝の時間って十五分位が丁度いいらしいし。 私が撫でてあげるから、今だけ休んでおきな」 「え? あ、うん……」  そう僕は素直に京平の言葉を聞いて少し休む事にした。  その間、京平は休憩せずに僕の体を撫でていてくれる。  何だか子供の頃に戻ったような気持ち良さだ。  大人になってからこうやって寝た事はない。  頭を撫でられたり体を撫でられたり本当に心地よくて安心出来るような気がする。  これが本当の恋人なんだよね? 癒して、癒されて……。  楽しい事も嬉しい事も一緒に分かち合ったり、時には喧嘩したり。 いやでも僕達は喧嘩はしないかな?  だって本当に京平は理想の恋人なんだもん。 何でも僕の事分かってくれたりしてくれるかから不安とか不満とかって何もない感じっていうのかな? 勿論、僕の方だって京平に答えるようにしてるしね。  一方的に自分勝手な恋人っていうのは恋人ではないような気がする。  今で言ったら男性が女性にDVって事? まぁ、稀に逆のパターンもあるのかもしれないけどね。  自分の言う事をきかなかったり自分が満足いくような事が出来なかったりストレスで当たったりする恋人っていうのはそれは僕からしてみたら違う気がする。 特に暴力で支配するっていうのはね。  恋人っていうのはどちらもこうやって癒されるって事なんだと僕は思う。

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