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僕達の休日18

 すると気付いたら京平はもうドア付近に立っていた。  でも僕に声を掛ける風ではなく勝手について来い。 みたいな感じなんだろう。  京平って、そういう所は無口っていうのかな? でも分かるからいいかぁ。  だから僕は仕方なくベッドの上から降りると京平の後に付いて行く。  本当にその隠し扉の部屋には今まで入った事がなかった所だ。  とりあえず僕はその隠し扉の前で立ち止まる。  でも何か仕掛けとかがある訳ではなかった。  こう何かボタンみたいなのがあって自動でドアが開くような感じではないという事だ。  ……まぁ、それは普通の家ではあり得ない事か。 まぁ、SF映画じゃあ、あるまいし。  そうそう本当にただのドアでしかないのだから。  ただ単にそのドアは本棚で隠してあっただけだったみたいだ。  とりあえず僕は京平の後に付いて中に入ってみた。  そこは窓もない部屋。  本当に京平の家の中にこんな部屋があったんだと思える位に広い部屋だ。  ただ窓がない分、明かりは一切入って来ない。 だから電気は点けたみたいなのだけど、普段は倉庫として使っている部屋だからなのかこう薄暗いっていうのか、地下室みたいな感じって言ったらいいのかな? LED電球だったら、もっと明るい感じだけど、多分、蛍光灯だと思うから本当に薄暗い感じがする。 寧ろ京平の家っていうのは、高層マンションで最新の設備が整っていそうな家なのに、この空間だけは昔にタイムスリップしたって感じなのかな? 「ここはさ……防音設備も整っている部屋なんだよ」   僕は何も質問していないのにそう言ってくる京平。 「え? どうして?」 「多分、このマンションにはどの部屋にもこのような防音設備が整った部屋があると思うんだけど、なんていうのかな? それぞれに使い方は自由って事なんじゃないかな? 防音設備が整っている部屋なのだから、楽器の練習とかにも使えるし、グラウンドピアノなんかも置けるようなスペースはあるし、ペットなんかも飼えるようにもなってるって事なんじゃないかな?」 「ぁあー!!」 そこにも納得。 「ま、私の場合には倉庫になってしまってるけど……」  さっきから京平は倉庫、倉庫とは言っているのだが、どうみても倉庫には見えない。  薄暗くても見えているのは、マッサージしてくれるような椅子とソファと何だかダンボールのような物がいくつか置いてあった。  まぁ、そのダンボールを見ると確かに倉庫のようにも見えるのだけどね。  流石は防音設備の部屋には音楽が聞けるようにという為なのかスピーカーも天井にはあって、何故か大画面もテレビも置いてある。  本当に僕からしてみたら謎の部屋なのかもしれない。

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