僕の体を撫でたり舐めたりしていた京平だったのだけど、今日、京平が僕の上半身を担当してくれた理由が分かったような気がする。　そう僕にキス出来るのは京平だけだからね。　初心に帰ってやるっていう事で、しかも初めてするカップルに教えるっていう設定なら、キスも重要になってくる訳だしね。 　京平の舌が、お腹から上の方に向かって来て今は鎖骨辺りを舐めているのだけど、その舌が喉仏を通り過ぎて、顎を通過してくるとそのまま京平の唇で僕の唇が塞がれ、上唇と下唇を舐めて歯列を割って京平の舌が僕の口へと入ってくると舌を絡ませてくる京平。 　僕の鼻からは甘い声が漏れ始める。 　舌を絡ませるキスっていうのは僕的には好きな方なのかもしれない。　僕だって最初の方は上手くこのキスをするのは出来なかった事だけど、そうそう！　上手く出来なかったっていうのは上手く鼻呼吸する事が出来なかったから、毎回苦しい思いをしていたっていうのかな？　でも今はもうそういうのは慣れたから鼻呼吸する事が出来るようになったけどね。 　京平の舌が僕の口内へと入ってきて、どれくらい経ったのかっていうのは分からないのだけど京平は僕から離れると、わざと水音を立てて離れていく。　それも京平からしてみたら演出なのかもしれないのだけど、ホント京平の場合にはそれさえも色っぽいっていうのかな？ 　はぁー、そんな京平に僕は見惚れてしまっていた。 　そして再び京平は僕の体へと舌を這わせて鎖骨やお腹と本当に今日は色々な箇所を丁寧に舐めてくれているような気がする。　だけど！　本当に今日は重要な部分っていうのは舐めてくれてないっていうのかな？　上半身を担当している京平も下半身を担当している諒馬君も！　確かに今日からの撮影っていうのは、初心者向けではあるんだけど、もう！　僕からしてみたら焦ったくて仕方がない！ 　そう思っていたら……京平が、 「とりあえず、今日はここまで……」 　って、カメラ目線でそう言ってるしー！　えー！　今日の所は僕の体を全体的に舐めるまでなのー！　それって、マジで中途半端なんですけどー！ 　今の僕からしてみたら両頬に両手で包み込んで頰をコケさせてしまったような感じだ。 　中途半端に体は熱くなったままだし、中途半端に勃っままだし、あー、ホント体的にも中途半端っていうのは気持ち悪いのかもー。 　だから僕はカメラが止まると京平に抱きついて、思いっきり甘えてみちゃった。 「ねぇ、京平……すっごく、今日の僕は中途半端なんだけどさー！」 　そう頰を膨らませてまで言ってみる。　すると京平はクスリとして僕の事を抱きしめてくれたんだよね。　でも！　それはそれで本当に嬉しいんだけど……！　そうじゃなくてー……。 「中途半端なんだから……後は京平がシて……」 　と京平の事を見上げるように甘えた声で言ってみる僕。 「ま、しょうがないよねー。　今日のは本当に中途半端だったんだから」 　そう言って京平は僕の事を抱きしめたままベッドへと押し倒して来てくれる。 　確かに期待はしてるんだけどー……撮影も終わってるって事は今は京平とプライベートな時間って事でもあるんだよね？　ん？　じゃあ諒馬君とか他のスタッフさんは？