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 アイスという言葉を耳にした部員は、喜びながら前へ駆け寄った。三種類ある棒に付いたアイスキャンディが袋の中にあり、各々が食べたい味を手にして席へ戻っていく。  一方の吉川は部長の言葉によって落ち着いたようで、皆に紛れながらアイスを選びに行った。  遅れて奏と龍司、その他数名も残ったものを物色しに前へ移動した。奏は赤い袋を、龍司は青い袋をそれぞれ手にした。 「角田さんありがとうございまーす」 「どういたしまして。それよりもかなちゃん、次は着替え持ってくるとかもう少しまともにしてね」 「はーい」  席に戻ると同時に袋を開け、棒の方からアイスを取り出す。一口齧ると冷たさが口の中に広がり、身体の中を冷やしてくれる。二人は思わず口元が緩んだ。 「みんな席についたー? それじゃあ始めるよー」  皆がアイスを食べながら部長へと注目する。彼は慣れた様子で今日の内容を黒板に書き始める。そうして写真部の活動は始まっていった。

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