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第9話

そして昨日谷中君から送られてきたメールの内容だが、『明日一緒に登校しよう』と言う内容だった。 もちろん内容を今日の朝に確認した僕。 返事を返してなかった僕はまさか谷中君が家の前で待っているとは思いもしなかった。なのに谷中君は待っていた。 不信に思った僕だけど、誰かと登校するなんて何時ぶりなのかと思い少しだけ、ほんの少しだけ心躍った。 そんな谷中君は僕に携帯を差し出してきた。  「?」  「郁も見るでしょ?係長の写真」  「え!い、いいの?」 大好きな係長ともなれば話は別だ。僕は背の高い谷中君に近づきつま先立ちで携帯電話を覗き込んだ。 見えづらいと気がついた谷中君は持っていた携帯の腕を下げて見えやすい位置へと下げてくれた。僕はお礼を言うため顔を上げた。 「あの、ありが!?」 僕は驚きのあまり声を失った。 あまりにも近いところに谷中君の顔があった事に。谷中君が僕が見ていた事に気がつき目があったが何も言わず係長の話を続けた。 (な、慣れてる?) 大好きな猫の事をひたすら2人で話し通学手段の駅へと辿りついた。人が多くなる時間帯を把握していた僕は極力避けてこの電車に乗る事を決めていた。 だけどここで少しだけ疑問に思った事があった。谷中君に早く言っていることは話した覚えはないのに、どうして谷中君は僕がこの時間帯の電車に乗る事を知ったのだろうか?たまたまにしてはすごくないか? 一度思った疑問は僕の心に住みついた。何も怪しむ事なんてないのに、友達なら普通に聞いてみればいいんだ。 僕はありったけの勇気をかき集め隣で電車を待つ谷中君を見た。 「ん?郁どうしたの?」 「んひっ、な、なんでもないです」 僕は下を向き谷中君を見るのをやめた。 簡単に聞くことが出来ない僕は弱虫で意気地なしのダメな男なのだろう。 目頭が熱を帯だし鼻の奥がツンと痛んだ。

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