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第17話

「グスッ・・・・」 「本当にごめん、・・・・ごめんなさい」 明らかにひどい事をされたのは僕で泣いて当然なのは僕なのに、どうして谷中君は泣いてしまうのだろうか。 そんな彼を見てしまえば僕は彼を許してしまう・・・・。 気がついたときに身体は勝手に動き僕は床に膝をつき谷中君の頭を撫でていた。そして、 「に、にゃあ・・・・」 とても恥ずかしかった。 こんな羞恥心、今まで味わった物の中でダントツで一番だ。 空いた手で胸を掴み自分の気持ちを無理矢理押さえ込む。 それでも全身は焼かれているぐらいに熱く感じてしまう。 下唇を噛み声を殺す。 何も話さない谷中君。絶対に喜んでくれると思ったのに、僕は恐る恐る彼の顔を覗き見た。 「・・・・・・え?」 目を見開き口は半開きでだらしない顔をして顔は真っ赤になっている。 意外だったのか? 谷中君は僕を引き寄せ唇にキスをしてきた。 「ふえ?」 柔らかくて暖かい。僕は15歳にしてファーストキスを男に奪われてしまった。 でも不思議と嫌悪感はなかった。むしろもっとしていたいと思い僕は谷中君の下唇に噛みついた。 谷中君の身体はビクリと上下し拒否することなく応えてくれた。 最初はお互いの唇を確認するくらいの簡単なキスだった。だけどだんだんと息が荒くなり谷中君の舌が僕の口内へと入ってきた。僕も負けじと舌を絡めたが谷中君の勢いに敵うわけもなく、僕は谷中君に圧倒された。 「口小さ・・・・可愛い・・・・郁・・・・」 床へと押し倒され身体を押さえつけられ僕は必死に谷中君の大きな背中にしがみついた。 耳に入る音はお互いの舌が絡みあう水音でピチャピチャと大きな音で耳に届く。 このキスがどういう意味を含んでるとかは全く検討がつかない。 でも僕はその意味を今は知らないでいようと思う、今の僕には・・・・知る度胸なんて、とてもないのだから。

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