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第1話エピローグ
司side
普段現場ばかりのオレが事務所で仕事なんていつぶりか?オフィスから少し離れた会議室。オレはパソコンと手帳片手に睨めっこ。モデル事務所のマネージャーとして就職してもうすぐ八年か。
今担当している暁は三年前に自分でスカウトしてデビューさせた。彼は男だが、モデルとしては女。まあ色々事情がってそのスタイルなわけだけど。彼は人の何倍も努力して、今や出ない雑誌はないほど人気も実力もトップクラス。けれど彼がこなせる仕事は限られている。
それでもオファーは絶えず。今は雑誌以外の仕事は受けるべきじゃない。それには訳があるのだが今は置いておく。で、オレが仕事を選んでいる訳だけど、正直雑誌の撮影だけでスケジュールはいっぱいいっぱい。暁にはかなり無理をさせているのが現状。
「これじゃあ大和君に会える暇がないな」
大和君とは暁の恋人で、暁の側にいるためだけにこの世界に飛び込んで来た無茶な高校生。暁が女の子だと思って本気で惚れたらしいけど、男の子だと分かっても彼は自分の人生を変えてしまった。オレですら今の相手を受け入れるのに数年かかったと言うのに若さなのか……。
「もうすぐ写真集の撮影で日本を離れるし……休みあげたいんだけどな」
オレは一人ぶつぶつ広い会議室で独り言。この短期間で色々周りが変わって、誰もいない空間でスケジュールと睨めっこしているとつい頭の中を色んな事が駆け巡る。
「はあ……どれも削れないな」
オレが一つ溜息を吐くと、同時にノックもせず扉を開けズカズカ入って来たのは言うまでもなく彼だ。この時、ちゃっかり鍵を閉めていたなんて気づきもせずに。
「珍しいな、こんなとこで仕事なんて」
そう言って寄って来たのはオレの先輩に当たるマネージャー逢坂颯真。この世界で彼は有名人で、担当したモデルは全てトップクラスの人気を誇る。憧れではあったのだけど今は……。
「ノックくらいしてくれない?」
オレは素っ気なく言って彼をスルー。見向きもせずにいると彼は面白くなさげにオレに近寄って来た。
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