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Unusual Request

「セ、バスチャンッ……あ、あふぅんっ……!」 景実(かげさね)の背中が(いびつ)(かたど)り、内股がぶるぶると痙攣した。 持ち主の意思を無視して収縮した筋肉が、後孔を埋め尽くす肉棒を抱き込みその訪れを宣言する。 下腹部を駆け上ってくるゾクゾクをほんの少しだけ恐怖し、だがすぐに受け入れてその瞬間を待った。 あとほんの少し耐えさえすれば、やって来るのは絶頂(エクスタシー)の快感だけ。 心も、身体も、景実の細胞のすべてがその瞬間(とき)を今か今かと期待していた。 くる。 くる。 くる――! 白い首筋が弓なりに仰け反る。 だが、景実のペニスはヒクリと強張っただけだった。 「もっ……やだっ……なんなんだよぅ……っ」 ひいひい、と咽喉の奥から音にならない声を上げ、景実が泣きじゃくる。 きつく合わさったまぶたの隙間から零れた涙が、唾液と混じり合い顎を伝った。 皺だらけになったシーツに、丸い染みが増えていく。 セバスチャンはエメラルドグリーンの瞳をほんの僅かずらしてその光景を見下ろし、えぐえぐとしゃくり上げる景実のなかを、自らの昂ぶりで容赦なく抉った。 「ふあああぁっ!」 猛る男根を景実の粘膜ごとずるずると引き出しては、またずぶずぶと押し戻す。 その度に、紺色のタイにぐるぐる巻きにされた景実の小さなペニスが、解放を求めて淫らに跳ねた。 「いかせてっ……おねがい、いかせて……!」 「まだ駄目です」 「な、なんで……?おれがなにしたって言うんだよぅ……!」 形の良い景実の耳の軟骨を、セバスチャンの歯が前触れなく甘噛みする。 景実は高い声で「はひっ」と啼き、セバスチャン自身をきつく締め付けさらに悦ばせた。 「いつもと違うことがしたいんだろ……?」 地を這うような低い声に直接鼓膜を揺さぶられ、景実は意識が朦朧としてくる。 そういう意味じゃないと否定したかったが、漏れる声はどれも言の葉の形をしていなかった。 「もっ……いやだっ……セバスチャンなんか、もう大っきらっ――んふむ!」 押し付けられた唇の火照りを感じるより、無理やり捻られた首が痛んだ。 吐息を盗まれたまま激しい抽送を繰り返され、視界が霞んでくる。 「やめてっ……もうやだっ……やだやだぁ……あっ!?」 セバスチャンの硬い欲望が景実の最奥に達すると同時に、鮮やかな手際で下腹部の拘束がシュルリと解かれた。 「あふっ……あ、あっ……あぁんっ……!」 まるで鼓動するかのように、ペニスが丸く膨らみ次々と白濁が吐き出される。 どくどくと脈打つそれは止まることを忘れたように、景実が意識を手放してもなおいやらしくヒクついていた。 *** なだらかな頰のラインを、(みどり)色の視線が愛おしそうに辿る。 幾筋も残された涙の跡を長い指の先で堰き止め、白く乾いた薄い唇をなぞった。 ――今日はいつもと違うこと、したい。 そう告げた主人(あるじ)の顔はそっぽを向き、瞳は潤み、耳は真っ赤だった。 精一杯の勇気を振り絞っていたのだろう。 「ん……」 もぞもぞと身動ぎ、白い裸体を隠すように景実が薄い布団を巻きつける。 セバスチャンは、高い鼻から甘い息を吐いた。 「早く起きてください、景実坊っちゃま」 再び夢の世界に舞い戻ってしまった景実の耳元で低く囁き、セバスチャンは黒いポケットに手を突っ込む。 取り出されたのは、二枚のチケット。 「、しましょう」 fin

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