「お前、靴なんか履いてくんなよ！まだ酔ってんのか？」 そう云うと俺のジャケットに手を掛けて脱がせようとする。 「だ、って...........、つい。お前こそ、どうしてシャワーの湯を掛けるんだよ！着替えなんかないんだぞ？！どうすんだ、これ。」 自分で濡れた服を脱いでいくが、ユニットバスの狭い空間で二人、裸になる姿は滑稽だった。 裸を見られて恥ずかしいとか、そういう事よりもこのびしょ濡れの衣服をどうしたらいいものかと思案する。 「取り合えずオレのTシャツとジャージを貸すから、突き当りのランドリーで乾燥するしかないな。」 「え？！時間、メチャクチャかかるじゃないか。.............マジかよ...............。」 俺はうな垂れる。予測不能の事態になって、こんな風に正臣とまた顔を突き合わせることになるなんて。 「いいだろ？明日は休みなんじゃないのか？」 正臣に訊かれて「まあ、そうだけど....。」と云う。 定休日の前日で良かったといえば良かった。でなきゃ何時に家に戻れるか分からないし、次の日の朝も辛そう。 「兎に角、シャワー浴びちゃおうゼ。」 「え？」 正臣はそう云うと俺を引っ張ってバスタブに入れた。 窮屈な格好でくっつくようにして、二人で頭からシャワーの湯を浴びると変な気分だった。 昔の、水泳の授業の後でシャワーを取り合いながら浴びた事を思い出す。あの頃、俺はもう正臣が好きで.......。 肩や足や腰が触れる事に敏感になっていたから、出来るだけ他の奴と一緒に浴びたものだった。 あの頃出来なかった事を今、こんな形でしているっておかしいな。でも、今だから良かったのかも。 さっきから、俺の腰に微妙に当たる正臣のモノが、確実に反応をしているのが分かる。 その意味が分かるだけに、俺までおかしな気分になってしまう。やはり肌の密着は、こうなる事を否めない。 シャワーで全身の泡を流しながら、正臣の手が俺の肩を掴むと後ろ向きのまま俺を胸に引き寄せる。 背中に正臣の胸が当たると、俺は只じっと身構えるだけ。 「............ハルミ、会いたかった。」 そう云うと尚も力を込めて俺を抱き寄せた。 後ろから肩を包まれて、胸の前で正臣の腕が交差する。 その腕にそっと俺の手を添えると、滑らかな肌の感触を確かめた。緩やかな筋肉の張りと、節のある細くて長い指。 この一本一本に、どれだけ触れたかった事か.........。 「会いたかった、だなんて..............そんな事云うなよ。俺はまだ迷っているんだから。」 そう云いながらも、身体は正臣に預けて俺のうなじに掛かる正臣のくちびるを受け入れていた。 シャワーで火照った身体が違う意味でも熱を持つと、そこは男の身体。もう反応は治まらない。 正臣の手が俺の腹を滑り降りると、まっすぐに中心で頭を揺らす物に落される。 「ぁ...............」 小さく呻いた声が聞こえたかどうか。シャワーの音にかき消されていたらいいけれど。 「ハルミ、...」 俺の名を呼びながら、まさぐる様に指を動かすと、自分のモノを強く押し当てて擦りあげる正臣。 滑りのあるソレは、充分に硬さを増していた。 は.............ぁん........... 湯気と熱気と身体の芯からの疼きで、俺の頭の中は朦朧としてくると、立っているのも怠くなってくる。 それでも、正臣の力強い抱擁は解ける事が無くて。 うなじから肩に掛けて正臣の舌が這う。 それにゾクッと反応してしまう自分が情けないが、この快感には抗えない。 俺は身体の向きを変えて正臣と向かい合う。 一瞬俺と目が合うと、すぐに唇は覆われた。斜め上にあげた俺のくちびるに吸い付くと、今までの会いたい気持ちは一気に俺の中へと流れ込む。 正臣も耐えていたんだろうか、それとも................。