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 僕は彼が握る僕の手に、少しでも高い体温を送ろうと思う。  彼の手が、あまりにも冷たかったから。  その広く頼りない背中を、他方の腕をいっぱいに広げて抱いた。  彼の首筋に顔を埋める。  彼はひたすらに赦しを請う。  僕は黙って彼を抱く。  「許してくれ許してくれ許してくれ許してくれ許してくれ許してくれ許してくれ許してくれ許してくれ許してくれ許してくれ……」  其の声は壊れたレコードのようで悲痛だった。  僕は耐え切れなくなり、彼の背中に文字を書いた。  利き手でない上に、上下反転した状態で文字を書ける程僕は器用ではない。  なるべくゆっくり指を動かす。その方が、彼にも僕にも、判りやすかった。  何ガソンナニモ罪悪ナノデスカ。  僕の言葉に彼は顔を上げた。  腫れた目に将校殿を見た。

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