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第48話

side蒼 いつ眠ったのか覚えていない。 目を開けると、一縷が心配そうな顔でこちらを見ていた。 「おはよう、あお。お疲れ様」 「おはよう、いち。見てきた?」 「あおに似て、すごくかわいかった」 「いちに似て、すごくかっこいいの」 親バカ炸裂してる。 今からこんなことだと、数年後とかどうなっちゃうの…。 先が思いやられる。 そう思っていると、朝食の時間が来た。 出産を終えた人への朝食はすごかった。 かぼちゃのスープ、鮭のムニエル、鯛のマリネ、黒毛和牛のステーキ、国産小麦100%使用のパン、3種から選べるケーキ。 ホテルの朝食並に豪華で、しかも、使用される食器は有名ブランドが使用されているのが売り。 これ目当てでこの病院で出産する人も多いと聞く。 朝食を食べ終えてしばらくしてから、一縷と二人で新生児室に向かった。 数多くいる赤ちゃんの中でも、我が子はすぐに見つけることができる。 これが親ということなんだな。 「まるでいちみたいだね」 「どちらかというと、小さい頃のあおだろ」 どちらに似ているか、新生児室の前で言い合う親が二人。 さすがに迷惑だったのだろう。 助産師さんが迷惑そうな顔でこっちを見ていた。 ちょうど授乳の時間だったみたいで、授乳させてもらえた。 初めての我が子への授乳。 練習で他の子にあげたことはあるけど、さすがに我が子となると手が震える。 何とかできて、少し安堵した。 次は一縷の番。 しかし、一縷は練習無しのぶっつけ本番だったこともあり、我が子の顔をミルクまみれにしてしまった。 最後の方は拒絶の態度を見せられて、少し落ち込んでいるように見えた。 「最初はそんなものだよ」 「でも、最後は嫌だって蹴ってきたぞ?」 「練習あるのみだよ。僕も協力するから」 「がんばる…」 ショックだったのは一時的なもので、今はうまく授乳をするという使命感を携えた目をしていた。

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